問題は学歴詐称だけではない、小池百合子「カイロ大卒」の強弁が招いた言論封殺と国益毀損
4年前から作家・黒木亮氏はJBpressにおいて、小池百合子東京都知事の学歴詐称疑惑を徹底追及してきた。そして今年4月、小池都知事の元側近・小島敏郎氏が月刊「文藝春秋」で、4年前に都知事自ら隠蔽工作を図っていたとする手記を公表したことで、再びこの疑惑がクローズアップされている。小島氏の手記によれば、この隠蔽工作により、駐日エジプト大使館のFacebookに、小池氏の卒業を認める“カイロ大学の声明文”が掲載された。その結果、小池氏らが狙った通り、疑惑追及の声は静まっていった。だが、隠蔽工作に駐日エジプト大使館まで巻き込んだことで、日本という国にとって大きな損害が与えられた可能性がある。黒木亮氏が自身の体験を交え、その「罪」をあらためて追及する(JBperss編集部) 【写真】エジプトではジャーナリストへの弾圧が日常茶飯事に行われている。エジプトの政治問題を調査していたケンブリッジ大学大学院のイタリア人留学生は、エジプトの治安機関によって拷問の上、殺害された疑いがある (黒木 亮:作家) ■ 外国政府による選挙への介入を誘導 元東京都特別顧問で弁護士の小島敏郎氏の告発によると、2020年6月に在日エジプト大使館のフェイスブックにアップされたカイロ大学声明は、小池氏と樋口高顕現千代田区長が主導して発出工作をしたものだという。 しかし小池氏は、例によって自身の関与について「あまり憶えていない」としらを切っている。 もしカイロ大学声明が真正なものでなければ、小池氏らには私文書偽造の疑いがかかる。逆に真正なものであった場合は、民主主義の根幹である選挙に外国政府の介入を招いたことになる。外国の政治家なら即刻辞任ものだ。2016年の米大統領選挙に対するロシア政府の介入疑惑の場合は、トランプ陣営のロシアとの共謀や連携の証拠は見つからずに終わったが、小池氏らの場合は、文案まで作成したのであるから、主犯と言ってもよいくらいの関与である。
■ カイロ大学声明文は明らかな“脅迫” カイロ大学声明は「遺憾なことに、日本のジャーナリストが幾度もカイロ大学の証書の信頼性に疑義を呈している。これはカイロ大学及びカイロ大学卒業生への名誉毀損であり、看過することができない。本声明は、一連の言動に対する警告であり、我々はかかる言動を精査し、エジプトの法令に則り、適切な対応策を講じることを検討している」と述べている。 これは威嚇ないしは脅迫であり、小池氏らはこれによって、疑惑からの逃げ切りを図ったと考えられる。一国の首都の都知事が、こういうことをやるのは果たしてまともだろうか? 小池氏の学歴詐称疑惑の解明には、現地での調査がきわめて重要で、筆者は、2016年10月、2018年9月、同12月、2019年4月、2019年7月の5回にわたってカイロで取材を行った。しかし、カイロ大学声明によって身の危険を覚え、家内からも「危ないからエジプトに行かないでほしい」と強く言われ、今日に至るまで現地に行けていない。 小池氏らが文案を作成したカイロ大学声明は、「生命、身体、自由、名誉もしくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害した」強要罪(刑法第223条第1項)に該当する可能性がある。