ひきこもり経験者が寄り添う、つながりの輪広げる メタバース活用、原点は絵はがき、札幌の団体設立25年【地域再生大賞・受賞団体の今】
「何か始めたいが、きっかけがつかめない」という当事者は多い。このため社会福祉協議会などの協力でメール便の袋詰め作業を手伝うと、1回500円の報酬が得られる取り組みも続ける。メタバースを活用し、在宅の仕事や短時間の仕事を紹介する仕組みも検討している。 ▽経験語れる人増えた 理事長の田中さんは、いじめが原因で中学から不登校となった。母は統合失調症を患い「今で言うヤングケアラーだった」。大学や大学院で社会福祉を専攻した。 田中さんは活動を振り返り「最初の頃は自分の経験を語れる人はほとんどいなかったが、今は格段に増えた」と状況の変化も感じる。ネットワークには相談や問い合わせが年間670件程度寄せられるようになった。 ▽つながりは重要 一方で田中さんは「ひきこもりは病名でも障害名でもないため、福祉サービスの対象外に置かれやすい」と指摘。ピア・スタッフのような当事者の活動に対する社会的評価を向上させ、支援活動に多くの予算を充てるべきだと強調する。
最近は40代や50代の当事者が増え、親が亡くなる人も多い。「親がいなくても、仲間がいれば孤立はしない」とつながりづくりの重要性を語る。 47の地方紙とNHK、共同通信が各地の地域づくりを応援する「地域再生大賞」は2024年度に第15回の節目を迎えた。レター・ポスト・フレンド相談ネットワークは23年度の優秀賞に輝いた。