ナマじゃないけど生親子丼 発想の原点は刺身丼
生キャラメルから始まり、生食パン、生ドーナツ、生カヌレと、“生”ブームが拡大している。“生”の定義はさておき、「フレッシュ」「ぷるん」「しっとり」といったシズル感を想起することから、「食べてみたい」と思わせる優秀なキーワードだろう。そんな“生”シリーズで、これまでにない画期的な一品といえるのが「鳥焼 晴京」の「生親子丼」だ。 【写真で見る】「生親子丼」の調理
ネーミング力が光る
「鳥焼 晴京」では2種類の親子丼をメニュー展開している。焼き鳥専門店だからこその王道の親子丼と、そして「生親子丼」だ。生親子丼は“生”と銘打ってはいるが、低温調理した鶏むね肉を薄切りにして並べ、ワサビ醤油ダレを回しかけて提供している。誰もが「生の親子丼ってどういうこと?」と興味をそそるこのキャッチーなネーミングは、「もともとは刺身丼をイメージしたメニューなんです。『冷やし親子丼』の名称も考えたが、“生”と付けた方がインパクトがあるかな、と」と、木村亮太店主は言う。同品は2015年から販売しているメニューで、「ランチで唐揚げ、チキン南蛮、親子丼を出していたが、特に親子丼はオペレーションが大変。さっと出せる丼メニューを1品増やしたい、と考えた」と、木村店主。 生親子丼は、大山鶏のむね肉を60~65℃で1時間ほど低温調理し、塩、昆布で調味する。注文が入ったら約140g分の鶏むね肉を12~14枚のそぎ切りにしてご飯の上に並べ、卵黄を落とし、ワサビ醤油ダレをかけて薬味を散らす。一見するとシンプルな料理だが、ワサビ醤油ダレは「醤油+ワサビ+オリーブ油+ハチミツ」を合わせた店特製。薬味は「刺身のイメージ」(木村店主)で、大葉、水菜、赤芽を刻んだもので、しっとり軟らかな鶏肉に特製ダレ、薬味が抜群に合い、あっさりとした味わいですいすい食べられる。 普通の親子丼も提供していることから、「二人連れのお客さまで親子丼と生親子丼の2品を頼み、食べ比べする例も多い」(同)と言う。ネーミングの妙だけでなく、おいしさの面でも構想が光る一品だ。
【店舗情報】
「新宿御苑 鳥焼 晴京」 所在地=東京都新宿区新宿2-4-8 第28宮庭マンション1階/開業=2014年/坪数・席数=19坪・32席/営業時間=11時30分~14時、17時~22時。日曜休/平均客単価=昼1000円、夜6000円/1日平均集客数=昼60人、夜35人
日本食糧新聞社