有名人の写真を“悪用“ 「なりすまし広告」の被害総額280億円 IT大手メタの声明に前澤友作氏は激怒
アメリカIT大手「メタ」が、著名人の写真や名前が不正に詐欺広告に使用される問題に対し、16日に声明を発表した。 日本でも有名人を使ったニセ広告での投資詐欺が急増しており、2023年には被害総額が約280億円にのぼり、対策が求められている。 【画像】前澤友作さんの名前を使った詐欺広告
新NISAの登場で被害件数が急増 中高年層がターゲットに
アメリカIT大手のメタが「なりすまし広告」対策について、声明を発表した。 著名人の名前や写真が、無断で詐欺広告に不正利用されている問題について、フェイスブックやインスタグラムなどを運営するメタは声明を発表した。 この中で、「プラットフォームの安全を守るため、2016年以降、チームと技術に200億ドル以上を投資し、これには詐欺対策も含まれる」としたうえで、「利用者を詐欺から守るための多面的な対策を講じている」としている。 また、詐欺広告かどうかを審査するチームには「日本語や日本の文化的背景、ニュアンスを理解する人員」を配置しているとしたうえで、「対策の進展には、産業界そして専門家や関連機関との連携による、社会全体でのアプローチが重要だ」と主張している。 有名人を語るSNSの投資詐欺、多くの人が被害に遭っていて大きな問題となっている。 その舞台ともなっているアメリカのメタがようやく声明を出したが、事態はどうなるのだろうか。 ここからは、フジテレビ・立石修取材センター室長が解説する。 多くの有名人が名前を悪用されていて怒ったり、困惑している。 ひろゆきさんや坂上忍さん、自民党本部に対応を要請しにいった前澤友作さんなど多くの著名人が、無断で広告に使用されている。 そして外国人タレントでは、厚切りジェイソンさんも悪用された。 アメリカでは、テイラー・スイフトさんやトム・ハンクスさん、Xのオーナーを務めるイーロン・マスクさんも悪用されている。 このSNS型の投資詐欺、警察庁の調査では2023年の被害総額は約280億円。 グラフを見ると2023年6月以後、急速に件数が増加したのがわかる。 新NISAなど新しい投資に注目が集まっていた時期と重なる。 被害者の年齢層は、男性は50歳代から60歳代。 女性は40歳代から50歳代が多い。 そして、詐欺に使われたSNSは、男性被害者では「フェイスブック」が最も多く22.1%。 女性被害者では「インスタグラム」が最多で31.5%。 いずれもアメリカのメタの運営するSNSが、最も多く投資詐欺の舞台となっている。 日本はXの利用者の方が多いが、ここには入っていない。 なぜメタが運営するフェイスブックやインスタグラムで被害が多く出るのだろうか。 ITジャーナリストの三上洋さんによると、Xもフェイスブックもインスタグラムも、広告の出稿に関しては、費用さえ払えば、事実上の無審査で出せるという部分では同じだという。 ただ、フェイスブックの利用者は、投資やビジネスに興味が高い中高年層が多い。 さらにインスタグラムも、最近は中高年の女性の利用者が増えてきており、だます方がターゲットとしている層とマッチしているからではないかという。 また、海外の詐欺師が使いやすいプラットフォームを使っている可能性もある。 このような状況を受け、メタは16日になって、ようやく声明を発表した。 なりすまし詐欺を「社会全体の脅威」と危機感は示しているが、数が膨大で手口も変化するため「課題が残る」、そのため「社会全体のアプローチが必要」としている。 これに対して、前澤友作さんが、Xで「まずは謝罪の一言は?社会全体のせい?」と不満をあらわにしている。 テレビ業界では、広告を出す前に業態審査があり、会社の実在や業態について審査を通過したものだけが広告を出せることになっている。 問題があった場合には謝罪が行われるが、デジタル広告ではこのようなシステムになっていない。