街角景気10月小幅低下、物価高で節約志向 判断は維持
Kentaro Sugiyama [東京 11日 ロイター] - 内閣府が11日発表した10月の景気ウオッチャー調査は現状判断DIが47.5となり、前月から0.3ポイント低下した。2カ月連続マイナス。物価高が景況感を押し下げているが、前月からの低下が小幅だったことや構造的な変化がみられなかったことから、景気判断は「緩やかな回復基調が続いている」で据え置いた。 指数を構成する3部門では、企業動向関連DIが0.2ポイント、雇用関連が0.4ポイントそれぞれ上昇した一方、家計動向関連が0.6ポイント低下した。 企業動向関連の回答では「修学旅行生やインバウンドの増加傾向が続いており、10月はイベントも多いことから身の回りの消費は活発になっている」(沖縄=食料品製造業)など、インバウンドが支えになっているとの声が聞かれた。 家計動向関連では「米の値段が大きく上がり、様々な食品が値上がりとなっていくなか、客は購入点数や来店回数を減らすことで生活防衛を行っている」(九州=スーパー)、「今夏が猛暑でエアコンがよく売れたため、その反動が出てきている」(東海=家電量販店)など、物価上昇の影響や季節要因に関する指摘が出ていた。 2─3カ月先の景気の先行きに対する判断DIは前月から1.4ポイント低下の48.3と、2カ月連続で低下した。 回答者からは「依然として所得の増加を上回る物価上昇が続いていることから、客の購買力が相対的に低下している」(北海道=住宅販売会社)、「今後も客の節約志向は続くものと予想され、販売数量を維持することは厳しいとみられる」(中国=一般小売店[食品])など、顧客の節約志向や買い控えを懸念する声が上がっていた。 内閣府は先行きについて「価格上昇の影響などを懸念しつつも、緩やかな回復が続くとみている」とした。 大和証券のエコノミスト、鈴木雄大郎氏は「節約志向は根強いものの、今後は実質賃金の回復を背景にマインドは緩やかに回復に向かう」と指摘。個人消費も底打ちが期待されるが「リベンジ消費に一服感がみられる中では、大幅に増加する可能性は低い」との見方を示した。 調査期間は10月25日から31日。 *内閣府の発表資料は以下のURLでご覧になれます。