山口県でキャッシュレス限定路線バス…宇部市交通局が実証運行、運転手の負担軽減・経営改善効果に期待
山口県の宇部市交通局は、運賃の支払いを交通系ICカードなどのキャッシュレス決済のみにした路線バスの実証運行を行っている。来年2月28日まで実施し、キャッシュレス限定の路線の拡大を見据えて課題を検証する。(本岡辰章) 【写真】大分県別府市の「亀の井バス」初の大卒バスガイド、きっかけは修学旅行…「人を喜ばせられる素敵な仕事」に憧れて
国土交通省が今夏に発表した全国の18事業者29路線で行う実証運行の一つで、中国地方では同交通局のみが選定された。
実証運行を実施しているのは山口宇部空港(宇部市)―JR新山口駅(山口市)を往復する特急便の1路線。運賃の支払いにはJR系の「ICOCA」や「Suica」などの交通系ICカード10種類と、目的地までの交通手段を最適に組み合わせたチケットを販売するシステムを通じて購入できるデジタル乗車券を利用できる。
これらのカードなどを使うことで乗客の降車がスムーズになって運転手の負担軽減が期待されるほか、現金用の運賃箱の購入や更新といったランニングコストを抑えることができ、経営改善効果も期待できるという。
一方、同交通局によると、県内では交通系ICカードで買い物をできる環境が十分に整っていないことや、高齢者への普及などの課題があるという。
8日に特急便で新山口駅から山口宇部空港まで乗車した埼玉県の公務員の男性(57)は「埼玉では日頃からICカードで買い物をしている。山口には出張で訪れたが、カードで運賃を支払えたので便利だった」と語った。
同局の担当者は「今回の実証運行を通じて少しでも多くの人に交通系ICカードを手にして便利さを感じてもらいたい」と話している。