500年後には日本人全員が「佐藤さん」に、国民の8割超が賛成の選択的夫婦別姓を政府が認めなければ
2531年には、日本人の名字がすべて「佐藤」になる――。そんな驚きの研究結果が4月1日に公表され、話題となった。 【写真】(株)ワーク・ライフバランスがXにアップした「佐藤さん」ばかりの社員一覧 エイプリルフールとあって一見単なる冗談のようだが、これは、少子・高齢社会の経済分析を専門とする東北大学経済学研究科・高齢経済社会研究センターの吉田浩教授による研究結果だ。 ■ 笑いを禁じ得ない記者会見 公表した一般社団法人「あすには」によると、約13万種類あるという日本の名字の中で最も多いのは「佐藤」。2023年時点で全体の約1.5%、割合にして100人に1人から2人がすでに佐藤さんという国なのだが、結婚する2人のうちどちらかが名字を変えない限りは法律上の結婚ができない日本の現行制度がこのまま続いた場合、いずれ日本人全員が佐藤さんになってしまう、というのだ。 年間50万組が結婚するこの国で片方の名字は必ず淘汰され、徐々に名字の種類が減っていったら、やがてみんな一つの名字になってしまうのではないか――。 そんな仮説から生まれた研究。「あすには」が吉田教授に独自調査を依頼し、佐藤姓の増加率や人口動態から分析を行った。その結果、夫婦のいずれも名字を変えずに結婚することを選べる「選択的夫婦別姓」を導入しないままだと、今から約500年後の2531年には、佐藤姓が100%に達する、というシミュレーションが導き出されたのだ。
「2446年には50%が佐藤さんなので、何か多数決するときに佐藤さん同士がみんな佐藤さんに入れると、何でも佐藤さんの思う通りになるという世の中になるわけです」。そんな調子で、スクリーンを使って大真面目に研究成果を発表する吉田教授の姿に、会見にオンラインで参加していたわたしは思わず噴き出してしまった。 この突飛な研究結果は、「あすには」が呼びかけた「THINK NAME PROJECT」という企画の一環。男女の平等な婚姻やキャリアを応援するため、日本人が選択的夫婦別姓について考えるきっかけをつくり、名前について考えを促すことを狙ったプロジェクトだ。 注目すべきは、このキャンペーンに、多くの企業が参加した点だ。 ■ 企業も参加したエイプリルフール企画 働き方改革コンサルティング業務を展開する株式会社ワーク・ライフバランスは4月1日、「一億総活躍の前に一億総佐藤時代が来る?」などとX(旧ツイッター)に投稿。小室淑恵社長が「佐藤淑恵」になるなど、スタッフの顔写真が「佐藤化」した社員名とともにずらり並んだ画像をアップした。