没後100年 中村彝しのぶ 命日に墓参・法要・演奏会 茨城・水戸
没後100年になる茨城県水戸市出身の洋画家、中村彝(つね)(1887~1924年)の命日に当たる24日、墓がある同市八幡町の祇園寺に彝を慕う人たちが訪れた。本堂で命日法要が営まれたほか、ゆかりの画家らが墓前に花や線香を手向け、37歳の短い生涯で数多くの傑作を残した画業をしのんだ。同市千波町の県近代美術館では「没後100年中村彝展」(来年1月13日まで)に関連して、百年忌を記念するコンサートが開かれた。 命日法要は、画業顕彰などを行う「中村彝会」が中心となって毎年行われてきた。2007年に解散となるが、同会元事務局長の阿王桂さん(70)=埼玉県=が彝を慕う有志に呼びかけ、現在も続けられている。阿王さんは「彝作品の魅力は、友人との絆や命の尊さが画面にあふれているところ」と説き、没後100年の節目を迎え「いずれは水戸の有志が中心となって法要を続けてほしい」と願った。 同会元会員で解散後も個人的に墓参を続けている画家、広沢節さん(85)=茨城県笠間市=は、彝に師事した画家、鈴木良三=水戸市出身=と交流のあった一人。「彝さんは生き方も含めて絵描きのかがみ。そんな方が茨城から生まれたことはすごい。体力が許す限り、墓前で手を合わせていきたい」としのんだ。 「没後100年展」を開催中の県近代美術館では「百年忌記念 彝が聴いた音楽」と銘打ち、エントランスホールでコンサートが開かれ、来館者約170人が詰めかけた。 所蔵する彝遺品のクラシック音楽のレコード8枚を基にプログラムを構成。茨城県ゆかりの若手奏者、内山恭子さん(バイオリン)と広瀬由香里さん(ピアノ)の2人が、ショパン「子犬のワルツ」、ベルディ「さようなら、過ぎ去った日々よ」、プッチーニ「ある晴れた日に」など11曲を演奏した。 市内から祖母と訪れた小学6年、小原直さん(11)は「100年以上前、彝さんが好きだった音楽を聴けて良かった。バイオリン、ピアノの音色がきれいだった」と話した。
茨城新聞社