【なぜ】“袋小路”の『北陸新幹線延伸』 詳細ルート決まらず着工ずれ込みへ「千年の愚行」京都の反対機運と早期開業求める北陸選出議員の苛立ち…カギを握る来夏の参院選
■2案に絞るも「新規着工費」盛り込まれず…稲田氏ら北陸議員「手ぬるい」
こうした状況を踏まえ、18日の整備委で西田氏が示した「中間報告案」は、3案のうち①南北案と③桂川案の2案に「絞る」という折衷案だった。1案に決めることによる京都側の反発を回避しつつ、選択肢自体は3案から2案に絞ることで、議論の進捗をアピールしたいとの思惑があった。 結局、20日に仕切り直された会合で、「2案に絞る」案は了承された。西田氏は記者団に今年1案に絞っても地元同意を含めた来年度着工の見通しは立っていないとの見方を示した上で、「環境や財源など地元の懸念払しょくに努めたい」と話した。次の本体着工目標にも言及せず「丁寧な姿勢」をアピールした。 ただ、政府は27日閣議決定した来年度当初予算案の北陸新幹線関連で「事業推進調査費」として14億5000万円(前年度比1500万円増)を計上したのみで、概算要求時点で金額を示さない「事項要求」としていた新規着工費は盛り込まれなかった。与党が目指してきた来年度末の着工は事実上不可能となった。 一連の対応は、敦賀での乗り換えに伴う「分断」を一日も早く解消させたい、稲田氏ら北陸選出の議員には「手ぬるい」と見えたようだ。
■酒造組合「地下水影響はないのか」 仏教会は「千年の愚行」と批判
一方、与党整備委の上部組織「与党整備新幹線建設推進PT」の一人からは、「京都にここまで反対・慎重の声が多いとは思わなかった」と驚きの声が上がる。 先陣を切ったのは、“酒どころ”として知られる京都市伏見区の酒造組合。12月2日、京都市内の地下トンネル工事が、地下水に影響を与えるのではないかとの懸念を示し、「本当に影響を与えないルート設定なのか、慎重に判断いただきたい」と要望書を京都府・市に提出した。 呼応したかのように、約1100の寺が加盟する京都仏教会も19日、水資源への影響を指摘し再考を求める申し入れを西脇京都府知事に渡した。申し入れでは、「小浜・京都ルート」が京都の有名寺院の直下を通るルートになっている点について「到底看過できるものではない」とした上で、「計画は千年の愚行」と切り捨てた。 関西選出の与党議員はこんな懸念も口にする。 「オーバーツーリズム問題が指摘される京都市内で、地下工事が始まれば交通渋滞のさらなる激化は避けられない。京都市民がこうしたネガティブイメージを『自分ごと』として想像すれば、反対世論が一気に高まる」
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