ロシア軍が車両100両で大規模攻撃、2割撃破され失敗 北東部クプヤンシク方面
ウクライナ北東部ハルキウ州のクプヤンシク方面で、ロシア軍は北から南へ流れるオスキル川に向けて西へ進撃している。オスキル川の左岸(東側)にいるウクライナ軍部隊を分断し、補給を複雑にしたり相互の支援を妨げたりすることを狙っているようだ。 だが、その努力はロシア軍にとって非常に代償の大きいものになっている。 ロシア軍は7月に、オスキル川の東8kmほどに位置するピスチャーネ村を占領した。現在、そこからさらに西へ突き進んでフルシュキウカ村付近でオスキル川に到達しようと試みているが、これまでのところ失敗している。 26日、ロシア軍は装甲車両およそ100両からなる大軍を投じ、ロシア側前線突出部の北と南に陣取るウクライナ軍部隊に3方向から攻撃を仕掛けた。 ウクライナ軍は、北側では第77独立空中機動旅団を主力とする部隊が応戦した。ドローン(無人機)や大砲、対戦車ミサイルでの迎撃といういつものやり方だったようだ。南側では第92独立強襲旅団が前線を維持した。付近には第40独立砲兵旅団も配置されており、突出部の全域を射程内に収めている。 ロシア軍は大きな損害を被った。南側の第92強襲旅団は戦車3両、BMP歩兵戦闘車5両、未特定の装甲兵員輸送車1両、MT-LB装甲牽引車1両、トラック3両、バギー(俗称「ゴルフカート」)1両の車両計14両を撃破したと報告している。 北側の第77空中機動旅団は、ほかの部隊とともに50両超の車両を「撃退した」と発表し、少なくとも戦車2両、装甲兵員輸送車2両、歩兵戦闘車1両を撃破したとしている。 ロシア軍は、この日の大規模攻撃に投入した車両の少なくとも2割ほどを失った。オスキル川に向けて押し込む攻勢は鈍り、ウクライナ側に防御を補強するための時間を与えることにもなった。 ロシア軍がこの戦いに勝つ可能性はまだある。ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は26日の作戦状況評価で、ロシア軍は「近く」、フルシュキウカ村からその南のクルフリャキウカ村のあたりでオスキル川左岸に到達し、クプヤンシク方面を担当するウクライナ軍の「ホルティツャ」作戦戦略軍集団の橋頭堡を2つに切り離すだろうと予測している。 とはいえ、26日の大損害から察すると、その「勝利」はロシアにとってまたしても、損害が大きすぎて引き合わない「ピュロスの勝利」になるかもしれない。ロシア軍はいくらかの土地を獲得するために、あまたの装備や人員を犠牲にする。そして、そうした装備や人員は補充するのがますます難しくなっている。
David Axe