村重杏奈「再生回数は気にしない」 “YouTubeとの向き合い方”を明かす
コロナ禍をきっかけに、一気に増加した女性芸能人のYouTubeチャンネル。テレビやSNSとはまた別の魅力を発揮しており、パブリックイメージとは異なる面を楽しむことができる。 【写真】村重杏奈の撮り下ろしカット YouTube配信に力を入れている女性芸能人に、動画投稿を始めたきっかけや今後の展望について聞く連載企画「YouTube with her」。 第7回は、2020年にたのシゲch -村重杏奈-を開設し、チャンネル登録者数15.2万人以上(※2024年6月現在)を誇る村重杏奈を迎えた。 テレビのバラエティ番組でも引っ張りだこな村重は、YouTubeという場をどのように捉えているのか。たびたびYouTubeに登場する家族との関係性と合わせて話を聞いた。 ・企画も編集も自分で! インパクトより「ファンが喜ぶものを」 ――村重さんがYouTubeを始めたのは2020年。きっかけはなんだったのでしょう? 村重杏奈(以下、村重):YouTubeが流行った時期に、事務所のスタッフさんに「やってみたら?」と言われて。「あ~、やりますか」って。正直、それまでは熱心に見ていたわけではなくて、どちらかといえばテレビ派だったので、そこで初めてYouTubeというものを意識した気がします。 ――最初の動画が「踊ってみた」だったのは、なぜですか? 村重:最初の頃は、本当になにをしていいかわからなくて。というのも、当時はまだHKT48に所属していたのですが、48グループってYouTubeやSNSの規定がかなり厳しかったんですね。だから、大人の方に相談しながら企画の候補を出して、そのなかでも「あ、『踊ってみた』だったらできそう」くらいのノリでした。 ――できることだった、というのが大きいんですね? 村重:はい。あんまり力を入れてやるというよりは、ゆるくやるものだと思っていたので。そのスタンスはいまも変わっていないです。 ――村重さんは、動画の企画から編集まで、すべてご自身で担当されているとのこと。 村重:はい。最初は、企画を考えてくださるスタッフさんもたくさんいたんです。なんかもう「村重のYouTubeのためにこんなに大人がいるの!?」みたいな(笑)。でも、もっと自分にしっくりくる企画があるんじゃないかなとか、インパクトのあるものよりはファンが喜ぶものをやりたいなとか、だんだんと自分の思いが出てきて。編集も、テロップのワードチョイスへのこだわりが強いので、自分でやるようになりました。 ――ちなみに、しっくりこないなと思ったのはどんな企画だったんですか? 村重:虫を食べる、みたいな(笑)。いまほどテレビに出てないときだったので「がんばらなきゃ」って撮ったんですけど、楽しんでないのが顔に出ちゃってたし、1人で撮っているもんだからリアクションとかも処理しきれていない部分もあって。結果、ボツになりました。 ――けっこうヘビーな企画ですね。 村重:そうなんですよ。YouTuberさんがたくさんやっているなかで、私はうまく企画として成立させれなかったので、できないなと思ってそういう企画は辞めました。 そこからはファンの子が「しゃべってる姿を見たい」って言ってくれたこともあって、ゆるくしゃべっている姿を映すような企画が増えていきました。 ・「家族が積極的に映りたがるんです」 ――テレビのバラエティとはまた違った姿、素を見せることに抵抗はありますか? 村重:抵抗はないんですけど、リアルなところを映しすぎないようにはしています。今って一部の瞬間を切り取られて、なんでも憶測される時代なので、わざわざリスクになるようなこともいやだなって。自分が視聴者だったときにも、そういう余計なことは考えたくないですからね。 ――一方で、ご家族もたびたび登場されてますね。 村重:家族に関しては、私というよりも、家族自身の出演ハードルが低いんですよ(笑)。村重もYouTubeを始めた頃は現役アイドルだったし、ここまでしていいのかなと思いましたけど、映りたがってくれるんです。 ――そうなんですね。 村重:本当にカメラが回っていなくてもあのままなので、「はい、ではYouTube撮るので“家族”やりましょう」としなくてもいいのは、すごく好きなところだなと思います。妹が2人いるんですけど、向こうから「YouTube撮ろうよ」って言ってくれますからね。親も「隠すものもないしな」と言ってくれるので、ありがたいです。 ――家族動画を撮るときに意識していることや、気をつけていることはありますか? 村重:パパが、話し始めるとどんどん脱線していっちゃうタイプなので、会話をリードできるようにしているつもりです。でも、私もそうなので……さすが私の親だなと思います(笑)。 ――ご家族とのYouTubeを見返すことはありますか? 村重:家で1人でお酒を飲んでいるときに、思い出として見返すことがあって。弟のしょうまを見て「かわいい~」と思います。YouTubeだと、かわいいところしか載せていないので、すごく愛おしくなっちゃって。いいコンテンツですよね。 ――家族仲がさらに良好になりそうでいいですね。 村重:YouTubeを撮るために家族と集まることもあるので、家族の時間を作るきっかけになっているのはいいなと思います。 ・テレビで気になった人が見てくれるような場所に ――バラエティ番組とYouTubeで、話し方は変えているのでしょうか? 村重:そうですね。でも、YouTubeでよく見るユルいトーク、カメラに語りかけるような話し方ができる人って、未だに憧れます。プライベートでも仲のいい丸山礼ちゃんとかすごいんですよ。 それに対して、村重はテレビに慣れてしまっているので、リアクションが返ってこないと不安になっちゃいますもん。YouTubeを始めたばかりの頃は「あれ、これつまんないかも」と思って何度も撮り直すこともありましたし。最近は相手のリアクションを見られるように、マネージャーさんがカメラの近くにいてくれるんです。 ――話し方以外に差別化していることはありますか? 村重: YouTubeよりもテレビに出たのが先だったのもあって、初出しのエピソードはまずテレビで話すと決めています。それからテレビではちゃんと気を張っているつもりなのですが、YouTubeではちょっと気が抜けた瞬間も映したりしています。 ――テレビよりも視聴者との距離感が近いのも特徴かと思います。 村重:そうですね。「元気がなくて村重のYouTube見て元気出そうと思ったら過剰摂取しすぎた」みたいなコメントをもらったときには、「センスやば」と思いました(笑)。一方でアンチコメントに関してはまったく気にしていないですね。こんなに人間が好きな村重でさえ苦手な人がいるのは、しょうがないよなと。 ――今後、YouTubeとテレビの活動の比重はどうしていきたいと考えていますか? 村重:あくまでもテレビを土台として、テレビを見てくれた方が「もうちょっと知りたいな」と思って、村重のYouTubeやSNSをチェックしてくれたら嬉しいなと思っています。YouTubeは自分で発信して見せられるメディアだと思っているので、いろんな層の方に届けたいです。 ・再生回数は気にしない。「楽しんで撮る」のが一番 ――いま一番人気の動画は、指原莉乃さんと宮脇咲良さんと一緒に撮影したものかなと思うのですが。 村重:あれは、咲良の卒コンのとき、さしさ(指原)が「カメラ回していい?」って。それに便乗して撮りました。 ――あそこまで伸びると思っていましたか? 村重:最近まで200万回も再生されているなんて知りませんでした。ふたりのパワーがすごいですよね。たくましく育った“さしちる”仲間の咲良と、さしさんとの動画が多くの人に見られることはすごく嬉しいです。 ――一方、再生回数が伸びない際には、どのような気持ちになりますか? 村重:「だよね」と思うことが多いです。自分の中でうまくいった動画のほうがやっぱりバーって伸びて、「うーん」と思いながら撮ったやつほど回らないので。気にしてるっていうよりかは、もっと楽しんで撮ろうって思うようにしています。 ――参考にしているYouTubeタレントさんやYouTuberさんはいますか? 村重:やっぱり丸山礼ちゃんですかね。それから、最近大好きでよく見てるのは、タキマキ(滝沢眞規子)さんのチャンネルです。 Instagramとはまた印象が違って、YouTubeはすごく親近感が湧くんですよね。「あ、うちのママと変わらない」って思う瞬間もあるし、ちゃんと芸能人としていい意味での“突き放し感”もあって。こういうふうにギャップがある人になりたいなと思って見ています。いまの目標は、タキマキさんに認知してもらえることですかね。
於ありさ