GPファイナル2位の千葉百音。ストイックに競技と向き合い、全日本で目指すのは「2024年有終の美」
12月20日から開幕する全日本フィギュアスケート選手権。 初日の20日は男子ショート、女子ショートが行われる。 【写真を見る】クリスマスツリーを前に笑顔を見せる千葉百音 昨季四大陸選手権を初制覇、世界選手権初出場を果たしたのが、千葉百音(19)だ。 今季は早稲田大学に入学し、練習の合間にオンラインで授業を受ける忙しい日々。 さらにスケート人生初の4連戦というハードなスケジュールの中、初出場のGPファイナルでは坂本花織を上回り2位と、勢いをつけ全日本選手権へ挑む。
自分が五輪にふさわしい選手になる
「ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に出場することが一番の目標」と語る千葉。 宮城県仙台市出身で、羽生結弦さんと同じリンクで腕を磨いてきたが昨季決意の移籍をする。 島田麻央や同学年の吉田陽菜など強豪が集う木下アカデミーへと拠点を移した。 新たな環境での努力が実を結び、昨シーズンの全日本選手権では2位、続く四大陸選手権で初優勝を果たし、世界選手権初代表となった。 迎えた今シーズンは、ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪のプレシーズン。 千葉に早稲田大学へ入学した理由をたずねると、こう答えた。 「オリンピックを目指しているので、この2年間は特にスケートの練習が忙しくなってしまうかもしれませんが、その中でもしっかりスケートと向き合うために、この大学の勉強も頑張っていきたい」 練習の合間でオンライン授業を受け、「理解するのに脳みそをフル回転」な毎日を送っている。すべては“五輪出場”のため。千葉のオリンピックへの思いはゆるぎない。 「着実に1歩1歩ステップアップしていく。その段階や過程が大事だと思っている。オリンピックが近づいてくるんじゃなくて、自分でオリンピックにふさわしい選手になれるように、しっかり上がっていくっていうイメージで今シーズン過ごしています」 そんな千葉は、今季自身にとっては異例のシーズンに臨んでいる。
4連戦の末につかんだ、GPファイナル2位
千葉は初戦、9月のネーベルンホルン杯に出場。 その後大会に姿を現したのは、11月に行われたGPシリーズのNHK杯だった。 「忙しすぎて。NHK杯が始まるまではほかの選手よりはゆっくりできましたが、始まってから一瞬です。覚悟はしていました」 2週間ごとに試合を4連戦でこなすことは、千葉にとって初めてのスケジュール。 そんな中でも、GPNHK杯で2位、続くGP中国大会で2位と勝負強さを見せ、目標でもあったファイナルに初進出を果たし、全日本3連覇中の坂本を上回り2位に輝いた。 好調の秘訣は、演技の安定感にあるという。ここまで出場した大会でジャンプの大きなミスもなく、ジャッジスコアにはジャンプの項目で「F」の文字がひとつも書かれていない。 ハードなスケジュールの中、着実に結果を出し続けている千葉に、手ごたえを聞くと、こう語った。 「NHK杯も中国杯も完ぺきとは言い切れないコンディションでしたが、その中で自分ができること1つ1つできたなって率直な感想があります。その結果、ファイナルへ自分で切符をつかむことができたので、ホッとしている。あと“大きい大会頑張るぞ!”という感じです」 常に現状に納得することなく、ストイックに自分とそして競技に向き合う姿勢で積み上げてきたキャリアが、千葉にはある。 今季好調の千葉に自分への期待度を聞くと「あまり自分には期待していなくて。期待というより、信じるという言葉を使おうかな。自分はちゃんとできると信じて挑めれば。未来のことを過信するより、自分の演技を足と体で1つ1つ作り上げていくんだという気持ちで臨みたい」と意気込む。 そんな千葉は、強い意志で全日本の舞台に挑む。
全日本で“2024年の有終の美を”
現在ISUの2024-25シーズンワールドランキングで坂本を上回り2位に君臨する千葉。 “絶対女王”を脅かす存在として、着実に実績をつみ上げている。 「今シーズンはGPシリーズから2戦と、GPファイナルがあって、去年とはピーキングの仕方が違うのかなと思っています。その中でも“2024年の有終の美”を飾ることができるように、自分の納得のいく演技、ショートとフリーでノーミスの演技がしたい」 去年2位となった全日本へ、“自分に勝つ力”を携え、千葉はさらなる飛躍を誓う。
フィギュアスケート取材班