ゲーリー・プレーヤーのドライバースウィングをAIで分析【レジェンドを最新テクノロジーで大解剖②】
右ひざのフォワードプレスで、右にスウェイしない準備
続いてアドレス~トップをご覧下さい。胸の左右移動を表す「CHEST SWAY」はトップでマイナス0.4cm(右)、骨盤の左右移動を表す「PELVIS SWAY」もトップでマイナス1.2cm(右)と、アドレスからほぼ左右にズレていません。一方で、胸と骨盤の左右差を表す「SWAY GAP」のデータを見ると、アドレスでマイナス8.4cm(胸が骨盤より右)、トップでマイナス7.5cm(胸が骨盤より右)にありますので、アドレスで作ったビハインド・ザ・ボールのポジションを保ってトップに入っていることがわかります。 プレーヤーと言えば、アドレスからテークバックに入る際の始動で「右ひざを左に寄せるフォワードプレス」が特徴の1つですが、この右ひざのフォワードプレスが入ることで骨盤や右ひざが右にスウェイしないための準備を整えていると言えます。もし「骨盤や右ひざの右スウェイ」にお悩みの方には、プレーヤーの「右ひざのフォワードプレス」は参考になるでしょう。
一歩前に出るフィニッシュは、右足にプレッシャーが残るアマチュアの良いお手本
最後にフィニッシュをアマチュアの例とプレーヤーで比較してみましょう。アマチュアに多いエラーの1つが「スピンアウト」(骨盤が右足方向に引けて戻ってしまうエラー)ですが、写真左のアマチュアは骨盤がマイナス2.8 cm(右)と、骨盤が右足方向に引けて戻っているのに対して、プレーヤーはプラス19.2 cm(左)で、しっかり左足にプレッシャーが乗っていることがわかります。 先ほどの右ひざのキックインと同じくプレーヤーの特徴的な動きに、「フィニッシュで右足が一歩前に出る」動きがありますが、このドリルを実際にやってみるとわかりますが、左足にプレッシャーがうまく乗ってこないと右に上体がよろけてバランスを崩します。プレーヤーの右足が一歩前に出るフィニッシュは、近年ではメジャー3勝のパドレイグ・ハリントンが練習ドリルに取り入れるなど、今でも非常に効果的な練習ドリルです。この記事をご覧頂いている方で、左足にプレッシャーがうまく乗らずに骨盤が右に引けてしまってダフリやトップにお悩みの方には、是非ゲーリー・プレーヤーの「右足が一歩前に出るフィニッシュ」を練習して頂くと良いでしょう。 今回はゲーリー・プレーヤーのスウィングを解説させて頂きました。年末のPNC選手権でも元気な姿でプレーしていたプレーヤーですが、今なお継続している徹底した自己管理とトレーニングは、全てのゴルファーの良きお手本ですね!
北野達郎