南海トラフ巨大地震…現実味を突きつけられた太平洋沿岸部 学校や自治体、津波避難の見直し進む 鹿児島県内
日向灘を震源に最大震度6弱の地震が起こり、巨大地震の発生可能性が高まったとして初の南海トラフ地震臨時情報が発表されてから8日で1カ月。大規模災害への備えが、より現実味のある課題として改めて認識された。津波が想定される鹿児島県内の太平洋沿岸地域では、業務を継続させるための一時避難先の検討や、地域での共助を再確認する動きが出てきている。 沿岸部近くにある志布志市社会福祉協議会は、臨時情報を受けて、津波発生時に本所機能や災害ボランティアセンターを一時的に移す検討を始めた。候補地は内陸部にある松山地区を想定し、市や民間とも協議する。有馬美津枝事務局長は「ボランティアセンターは復興の拠点。災害時にも迅速に対応できる体制を整えたい」と語る。 市は、正確な情報収集と市民の防災意識向上につなげようと、避難所の混雑具合などを確認できる防災アプリの導入を計画する。大規模災害に備え、トイレや間仕切りなど備蓄品の見直しも進める方針だ。
いつ起こるか分からない地震では、平時からの家族間での連絡体制や地域での避難方法の確認も重要となる。海抜約5メートルにある同市の通山小学校は地震の翌日、保護者にメールで避難先や連絡先の確認を呼びかけた。その後も学年便りなどを通じて周知を図る。 上村圭祐教頭(46)は、就業時間以外の安否確認や、津波や豪雨などとの複合災害時の避難方法を今後の検討課題に挙げる。11月に避難訓練を実施する計画で、「課題への対応を深めたい」と話した。 南大隅町佐多地区の大泊自治会は、人口約90人のうち70人ほどが高齢者。津波被害が想定される海抜3~4メートルに多くの民家がある。大久保光幸会長(69)は「要支援者は10人以上おり、歩行器を使う人もいる。どうやって地域のみんなで高台に避難させるかは大きな課題」と語る。 町は、自治会単位で初めての避難訓練を年内に計画する。熊之細等総務課長(59)は「自治会単位で課題を洗い出すことで、地域の防災力向上につなげたい」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島
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