<速報>ヤクルトの館山、笑顔の1019日ぶり復活白星
ヤクルトの館山昌平投手(34)が11日、神宮球場で行われた横浜DeNA戦に今季2度目の先発、6回を投げ1安打1失点4奪三振の好投で、2012年9月25日の阪神戦以来となる1019日ぶりの勝利を手にした。立ち上がりに1点を先行されたが、「館山さんに白星を」で一致団結した打線が、4回に逆転。館山が勝利投手の権利を得ると、秋吉、松岡、オンドルセクとつないで4点のリードを守った。3度のトミー・ジョン手術と、苦しいリハビリを経ての復活劇。先発に苦しむヤクルトにとっても混セを抜け出すための救世主が帰ってきた。
満員の神宮球場。館山コールが鳴り止まない。そのお立ち台で館山に涙はなかった。 「いやあ、長かったですね。本当にすみません、遅くなりました」 ヒーローインタビューは、ファンへの懺悔から始まった。 ネット裏では、長女の海音ちゃんと一緒に応援していた妻の陽子夫人が号泣していた。 アナウンサーにまずは家族へメッセージをとふられて「僕以上に家族にとって長かったと思います。陽子、海音! ありがとう!」と伝えて、スタンドの涙を誘った。 「やっぱり勝つといいですね。今日は、勝負に徹して、先に点を取られたんですが、チームの逆転を信じて責める気持ちで投げて、結果的に勝つことができました。緑で満員になったスタンドを見てもわかるようにチーム一丸、ファン一丸となって戦えているので心強いです。何度、手術をしても、皆さんがいればこうやって戻ってこれるんです」 ウイニングボールをポケットに入れた館山は、最後まで笑顔だった。 「僕としては復活できましたが、これは通過点として、今シーズンの優勝、そのために一生懸命に腕をふっていきたいと思います」 そう誓うと、大きな拍手が巻き起こった。 横浜DeNAのラインナップを見たとき、館山はリハビリに費やした時の長さが身に染みたという。2013年4月5日の横浜DeNA戦。この試合の4回途中に右肘に異変が発生して降板、右肘にメスを入れた。その試合のクリーンナップは、モーガン、ブランコ(現オリックス)、ラミレスで、相手投手だった藤井は、今は引退して巨人の打撃投手だ。 「あのときは右の外国人がポイントだったイメージがありましたが、すっかり若いチームに様変わりしましたね。足も絡めて、どこからでも点を取れるチームになりましたね」 復帰初白星が、その横浜DeNA戦となるのも運命的ではあった。 館山は、立ち上がりに二死二塁から筒香に甘いフォークを打たれ1点を失ったが、4回にチームは「館山さんに白星を」の合言葉で燃えた。藤井、川端の連打で山口を攻め、4番の山田が四球を選び無死満塁。雄平が同点の押し出し四球で歩き、続くデニングがライト線に勝ち越しの2点タイムリーツーベース。さらに大引もライト前へのタイムリーで続き、4点を奪った。館山へ勝利投手権利をプレゼントしたのである。 リードをもらって館山の投球術が冴える。 変化球をコーナーの両隅に集めながら、ゴロの山を築いていく。勝利権利を得る5回も、高城、飛雄馬、関根と3つの内野ゴロ。1点の追加点をもらった6回も、倉本を三振、梶谷を左邪飛、筒香もピッチャーゴロに打ち取って80球でマウンドを降りた。