松坂屋名古屋店の大改装 ラグジュアリー4割増床、婦人服6割減床
外商比率5割の強みを生かす
11月中旬に本館4階にファッション、ライフスタイル、カフェ、下旬に同3階のラグジュアリーブランドをオープンする。4階のフロア中央には松坂屋が独自に国内のデザイナーズブランドやジュエリーブランドを集めた新ゾーンを設ける。12月中旬には本館8階に800平方メートルの美術売り場を作る。「東海エリアのアートマーケットのハブ」をコンセプトに2倍に増床し、カフェを併設し、作品に気軽に触れられる環境にする。25年秋には北館6階をラグジュアリービューティサロンとしてオープンする。
空間設計は建築家の永山祐子氏が担当する。松坂屋の歴史と未来像を踏まえて、落ち着いた雰囲気の銅と真鍮をメイン素材として採用する。永山氏は「訪れるお客さまはもちろん、働く人が輝けるステージのような空間にしたい。生き生きとした交流が生まれる場になってほしい」と語った。
松坂屋名古屋店は本館、北館、南館の3館体制で売り場面積は約8万6000平方メートル。24年2月期の売上高は1268億円で、大丸松坂屋の中では一番店(売上高が全国最大)だ。けん引するのは外商で、コロナ前に比べて2割成長した。売上高に占める外商比率5割は、百貨店業界の中でも際立って高い。近年は20~40代の比較的若い外商顧客が増えており、世代交代に伴う新しいニーズに応えるのが課題だった。コロナ禍の改装でもラグジュアリーブランドや高級時計の売り場を増床してきたが、今回の改装でさらに攻勢をかける。
齊藤毅店長は「名古屋にはよいお客さまがたくさんいるのに、われわれの変化へのスピードが追いついていなかった。(改装を機に)上質な消費のニーズに応える売り場とサービス体制を整える」と話す。外商員も増員し、外商員の属人的な能力に頼るだけでなく、組織として顧客の要望に応えられるようなチーム体制に改めた。
名古屋では、JR名古屋高島屋がある名古屋駅(名駅)エリアと松坂屋名古屋店がある栄エリアが二大商業地として集客を競い合う。ターミナル直結の利便性を生かして幅広い層を集めるJR名古屋高島屋に対し、松坂屋名古屋店は伝統的に強い外商に磨きをかける。