F1新車”雑感”解説2024「メルセデスW15」ダウンウォッシュ採用も、コンパクトなサイドポンツーン。デザイン一新で復活なるか?
メルセデスが2024年用マシンW15を公開。ゼロポッドは捨てたものの、その開発を行なったことが活かされたような、コンパクトなサイドポンツーンを備えている。 【ギャラリー】早速走行! メルセデスW15 2月14日にメルセデスが発表したニューマシンW14は、以前のシルバーアロー時代とブラックの時代を併せ持ったようなカラーリングとなった。そのマシンの各所には、昨年のW14とは違う部分が多く見て取れる。 最も注目が集まるのは、サイドポンツーンだろう。昨シーズン中盤の段階で、通称ゼロポッドと言われた極小のデザインを捨て、他の多くのチームが使っていたダウンウォッシュ型のサイドポンツーンに置き換えた。ただ、ゼロポッド時代の名残として、側面衝撃吸収構造を内包したウイングがコクピット側面に存在していた。 しかし今回発表されたW15に、このウイングはなく、コクピットのすぐ横までサイドポンツーンが伸びている。インテーク部は下端が若干前に伸びる受け口型だが、今季のトレンドとも言える横に長く細いインテークではなく、ゼロポッド時代に近い上下に長い開口部になっている。 サイドポンツーン上面は、前端からスラリと後方に向けて後傾するダウンウォッシュ型。ショルダー部分は若干持ち上げられ、上面を流れ落ちる気流のガイドとなっている。 サイドポンツーン下部は鋭い抉れ(アンダーカット)が存在していて、サイドポンツーン上下を通って、気流をディフューザー上に送っている。 上面の落とし込み、そしてアンダーカットはいずれも過激で、サイドポンツーンは実は非常にコンパクトになっている模様。ここに、昨年途中までゼロポッドのマシンを走らせていたノウハウが活きているのかもしれない。 またエンジンカウルも昨年とは大きく変わった。昨年のW14では、ヘイローの付け根から大きな盛り上がりがマシン後方まで続いていた。しかしW15ではこの部分の主張が穏やかになっている。 さて前方に目を移すと、ノーズが短縮され、フロントウイングのメインプレーンが独立する格好となった。この部分でも、空力コンセプトが変わっていることが伺える。 実際に走行したマシンを見ると、早くもフロントウイングにアップデートを投入。最上部のフラップが内側と外側に分かれ、特に内側の部分は棒状の実に薄いフラップになっていた。これも過激なデザインである。 サスペンションは前後ともプッシュロッド。昨年はリヤにプルロッドを採用していたが、これを変更してきた。これにより、ディフューザーのスペースを確保したのだろう。また、W14ではリヤの挙動が不安定だったということもあり、これを解消することも目指されているはずだ。 昨年は痛恨の未勝利に終わったメルセデス。今年こそ、復活なるか?
田中健一