青木涼真がパリ五輪代表入りを確実にする優勝 日本の3000m障害レベルアップと自身の成長をリンク【日本選手権】
21年以降の日本選手権は三浦が勝ち続け、国際大会でも三浦は21年東京五輪で7位、23年世界陸上ブダペストで6位に入賞。21年に8分09秒92、23年に8分09秒91と世界トップレベルの日本記録をマークした。 三浦不在のことを「鬼がいぬ間に」とユーモアを交えて話したが、優勝記録の8分24秒21は青木の自己記録の8分20秒09とは4秒差。「今の状態で8分24秒なら、100%の準備と練習ができれば8分15秒はクリアできる位置にいるのでは」と、今後の自身に期待している。 「東京五輪では何もできなかった苦い思い出があります。そこから歯が立たなかったオレゴン、14位のブダペストと、良い道を進んでこられた。パリ五輪では3年分の思いを力として発揮したいですね」 パリ五輪出場が実現したら「10位以内」を目標とする。 「自分は一気に伸びる選手ではありません。10番でも高い目標なのですが、そこをしっかり目指すことで、来年の世界陸上東京につなげることも大事にしていきます。世界陸上では入賞を目指したいですね」 青木が3000m障害を走り続けている理由の1つに、三浦だけでなく、この種目自体を世界に近づけていきたい気持ちがある。 「三浦くんだけでは背中が遠すぎます。僕がこの(2番手の)ポジションにいることで、若手が目指す背中になれます。自分はこのポジションをしっかり確保しつつ、三浦君の背中を追っていきたい」 今回の日本選手権でも、2位の柴田と3位の新家は自己記録を大きく更新した。ラスト1000mを青木が2分42秒でカバーしたが、これは世界大会でもそこそこ戦えるレベル。青木であれば走ってしかるべきタイムだが、柴田や新家も同レベルのタイムで走ったことは、日本の3000m障害のレベルが上がっていることを示している。 世界陸上ブダペストで日本選手2人が決勝を走っただけでも、日本の3000m障害にとっては快挙だった。男子3000m障害が日本の得意種目と言われる日が、近い将来に来るのかもしれない。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)
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