青木涼真がパリ五輪代表入りを確実にする優勝 日本の3000m障害レベルアップと自身の成長をリンク【日本選手権】
スプリントは以前からの武器だが、3年連続で米国のバウワーマンTCへ武者修行に行っている成果が、スピードに表れているという。「今年の春、ボストン室内で日本記録も出すことができました」。種目は1マイル(約1609m)で実施頻度の少ない種目だが、1500mの通過が3分39秒12と、屋外の自己記録を上回った。日本のトップレベルと言えるレベルのスピードを身につけていた。そして競技以外の面の効果も大きいという。 「日本の競技生活はスタッフがやってくれることも多く、本当に恵まれています。アメリカに行ったら身の回りのこと、食事を自炊したり移動手段を確保したり、全部自分でやらないといけません。そういった部分の人間的な成長が競技力の向上にもつながっています。今は(世界トップレベルのバウワーマンTCの選手たちに対して)勝てると思える選手も出てきましたし、自分も一応世界陸上の決勝に進出している選手なので、初めから負けていると思わず向かうことができています」 トレーニング面での工夫もあると思われるが、青木は駅伝も含めて失敗レースがほとんどない。安定した強さは青木の大きな特徴だ。 ■パリ五輪では10位を、世界陸上東京では入賞を目標に そんな青木も一時は、3000m障害をやめることも考えたという。 「限界を感じてやめると、ちょっと言っていた時期もありましたね、若手(三浦)の台頭も重なって。東京五輪に若い段階で出られたこともあって、今5000mに転向すれば、という思いもありました。本当にまずいと思ったのは世界陸上オレゴンのときでした。まったく歯が立たなかったので、どうしようかと思いました」 青木の大学4年(19年)以降のシーズンベストと、各シーズの主要大会戦績は以下の通りである。 ◇19年:8分32秒51 日本選手権3位 ◇20年:8分25秒85 日本選手権3位 ◇21年:8分20秒70 日本選手権3位、東京五輪予選2組9位 ◇22年:8分20秒09 日本選手権2位、世界陸上オレゴン予選3組11位 ◇23年:8分20秒54 日本選手権7位、世界陸上ブダペスト決勝14位 ◇24年:8分24秒12 日本選手権1位