ダブルエースの海星 昨夏甲子園メンバーの経験生かす センバツ出場校紹介
海星(長崎)は7年ぶり6回目の出場となる。昨秋の九州大会では全3試合が1点差試合と接戦続きだったが、昨夏の甲子園メンバー7人が残る経験値を生かし4強入り。46年ぶり2回目となる夏春連続出場を決めた。
堅実な守備で接戦制す
昨夏の甲子園では、信条の「守り勝つ野球」で夏としては46年ぶりに2勝を挙げたが、4強入りした近江(滋賀)に3回戦で敗退。その悔しさをかみしめながら新チームは発足した。秋の県大会は決勝で長崎日大に惜敗したものの準優勝。九州地区大会は、左の吉田翔(2年)、右の高野颯波(2年)の「ダブルエース」と堅実な守備で、東海大熊本星翔(熊本)、西日本短大付(福岡)をいずれも1点差で破り、4強入りを果たした。 九州地区大会は、1点差で敗れた準決勝の沖縄尚学戦を含む全3試合で吉田が先発し、高野が継投。吉田は緩急と制球力が光り、精神力も強い。高野は直球の切れと変化球を生かした強気の投球が持ち味だ。
九州大会は犠打ゼロ
打線はつなぐ意識が高く、どこからでも好機を作れる。九州地区大会準々決勝の西日本短大付戦では、九回表2死から高野、田中朔太郎(1年)の連打で勝ち越すなど勝負強さも光る。九州大会は犠打ゼロ。俊足の選手がそろうだけに機動力を生かした攻撃が武器となる。 夏春連続出場を目指すため、昨夏は大半の選手が甲子園に同行しなかった。長崎でノックを受け続けて伝統の守備力に磨きをかけ、レギュラー争いに拍車をかけた。冬場はさらなる脚力を身につけるため、正しい走り方のフォームを学び、メディシンボールなどを使って体幹の強化も図った。 今回で春夏通算7回目の甲子園采配となる加藤慶二監督は「九州地区大会は『ダブルエース』を軸に粘りの野球ができた。大事な場面で一人一人が自分の役割を果たすチーム」と話す。22年夏の甲子園も経験した捕手で主将の田川主将(2年)は「人間力を磨いて、応援してもらえるチーム作りに力を入れてきた。出場だけで満足せず、全国制覇を狙う」と意気込む。
OBに阪神・平田勝男ヘッドコーチ
フランス人の宣教師ジャック・バルツ神父が1892年に長崎市に創立したカトリック系私立中高一貫校。2006年、男子校から男女共学になり、普通科で796人(2022年11月末時点)が学んでいる。校訓は「神愛・人間愛」。 野球部は1915年創部。現在の部員は51人で、うち半数が寮生活を送っている。甲子園には春5回、夏19回出場。16年春は8強入り。22年夏の甲子園では夏としては4強入りした1976年以来、46年ぶりに2勝を挙げた。 卒業生には阪神の平田勝男ヘッドコーチや、元ヤクルト投手の「サッシー」こと酒井圭一さん、元西武で内野手だった永江恭平さん、日本ハムの江越大賀らがいる。