ウクライナ軍のストライカー装甲車が本領発揮 北東部の都市でロ軍歩兵の撃退続ける
第82旅団は昨夏の初戦闘では不得手な地形と相手に苦戦していた
意味するところは明らかだ。ウクライナ軍もまた、ストライカーを運用する旅団は市街戦にこそ投入すべきなのだ。 反対に避けるべきなのは、ロシア軍の機械化旅団や戦車旅団とは直接戦わせることである。ストライカーよりも重い戦車やその他の装軌戦闘車両が、より優れた長射程の火力を発揮できる、開けた地形ではなおさらだ。ストライカー部隊の「主な役割はロシア軍の車両編成を撃破することではない」とグレイも言及している。 第82空中強襲旅団は昨年夏に初めて戦闘に参加したとき、まさにこうした間違った地形で、間違った敵と戦わされた。ウクライナ南部の開けた土地で、壕(ごう)に車体を隠したロシア軍の機械化部隊とまみえたのだった。その結果、オランダのOSINT(オープンソース・インテリジェンス)分析サイト「オリックス(Oryx)」で確認されているだけで、ストライカーを少なくとも8両撃破されている。 南部の戦線が安定し、ロシア軍がウクライナの東部と北東部の都市部に兵力を集中させるなかで、第82旅団はようやく、みずからの得意とする地形で戦う機会を得た。 第82旅団の第一陣がボウチャンシクに送られたとき、この増援に懸かっているものは非常に大きかった。ロシア軍の新たな軍勢はボウチャンシクを攻略してハルキウに向かうルートを切り開く狙いとも考えられた。北方に集まってきたこの部隊も、ウクライナのほかの前線で有効だった歩兵先行の突撃戦術を採用していた。 ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は「突撃部隊、通常は小隊規模(40人程度)の集団が拠点を攻撃し、その後ほかの突撃部隊と合流する」と解説している。「こうすることで、目標に接近する際に損害を抑えられる半面、前進ペースは遅くなる」 ロシア軍の複数の小隊がボウチャンシク中心部の中間地帯に散開したため、最前線はあいまいになり、第82旅団のストライカー部隊は360度全方向の戦いを強いられた。同旅団の前出とは別の軍人は「われわれは円形防御を維持した。彼ら(ロシア軍部隊)はあらゆる方向から向かってきた」と語っている。