古代ギリシャで「人妻」に手を出した男にはどんな制裁が加えられたのか
「誠実な女」に手を出した者への厳罰
事実、アテナイの法律は女性に対してずいぶん「保護的」だった。後見人がいる淑女はみな、たとえ高齢であっても、禁断の果実だった。 だから男がほかの男の「所有物」と事に及んでいるところを見つかった場合、後見人(たいていは父兄やおじ、夫)はその侵入者を殺すことが許された。あるいは、金銭的に償わせる選択肢もあった。 倹約家や懐が寂しい者には、別の選択肢も用意されていた。そのなかには、灰を使って陰毛を除去されたり、大根を肛門に突っ込まれたり(いわゆる「大根刑」)といった、身体的な辱めを受けることも含まれていた。 結局のところ、どちらの罰も女性化される行為だった。女は脱毛することが奨励されていたし、女の身体は男の拡張部分を受け入れるようにできているからだ。したがって、男が初めて“掘られる”のは「女役」を演じるということであり、男らしくないと見なされた。 独創的なローマ人たちは、大根刑をより手の込んだものにした。もっとサディスティックなモノ、すなわち海魚のボラを使ったのだ。ボラは地味に見えるかもしれないが、硬いとげが4本あり、野菜よりも「抑止力」を提供してくれるはずだった。 ローマの風刺詩人ユウェナリス(60頃~130頃)はこう書いている。 「ときに夫の怒りは、いかなる法が認めるよりも厳しい罰を要求した。ある愛人は剣で斬り殺され、また別の者はむち打たれて流血す。ボラの罰を受ける者もあり」 魚にとってはありがたいことに、この習慣はあまり一般的でなかったようだ。だが、少数ながら史料が残っていることを考えれば、ローマ市民のこれほど非凡な処置を否定すべき理由などあろうか。突飛すぎる話でさえ、一抹の真実が含まれていることもある。
Terry Madenholm