COP21開幕で改めて考えたい温暖化対策 東京のCO2削減はどうなっているの?
地球の温暖化対策を話し合う国際会議「COP21」が11月30日から始まりました。「COP21」には安倍晋三総理大臣も出席し、世界の共通課題として温暖化を食い止める方策を議論します。現在は先進国と新興国などで主張が食い違い、妥協点の模索が続いています。他方、日本国内でも温暖化対策としてCO2の削減が進められています。その自治体の取り組みの中で、そのトップランナーが東京都です。どんな活動を行っているのか具体的にみてみましょう。 IPCCが温室効果ガスゼロを提言、そんなに減らせるの?
1300の事業所にCO2削減義務
東京都は、2010年4月1日から「東京都キャップ&トレード」という気候変動対策に乗り出しています。具体的には、都内の約1300の事業所に総量でのCO2排出削減義務を課しました。削減義務の対象になったのは燃料・熱・電気の使用量が原油換算で、年間1500キロリットル以上とされている事業所です。都内には約63万の事業所がありますが、そのうち削減義務が課せられた事業所は約1300か所。内訳は商業店舗・オフィス・病院・大学などの業務系が約1100か所、工場系が約200か所です。 「削減対象となった1300の事業者が排出するCO2は、業務・産業部門から排出されるCO2の約4割を占めています。そうした理由から、1300事業者にCO2の削減に取り組んでもらうことになりました」(東京都環境局地球環境エネルギー部) 都は、業務系には8%、工場系には6%の削減義務を課しました。もちろん、東京都水道局の施設や23区の清掃工場なども対象になりました。 2015年3月末までの削減結果は、事業者が都に報告しなければなりません。第三者機関による厳しいチェックがあるので、事業者が数字を誤魔化すことはできません。削減義務を達成できなかった事業者は、どうなるのでしょうか? 「削減義務を達成できなかった事業所は、2016年9月までに達成した事業所から削減量を取引して、義務を履行しなければなりません。東京都では企業間でやりとりをしやすい環境を整えるためセミナーなどを開いています。企業担当者からは排出量を売買するような取引所の開設を望む声もありますが、例えば同じグループの事業所間で削減量を融通するといったやりとりも考えられますので、東京都は取引所の開設までは考えていません」(同) CO2の取引価格は、1トンあたり3000円~5000円が相場です。CO2を削減することは、企業にとって社会的義務を果たすだけではなく金銭的メリットもあるのです。