阪神・佐藤輝明が特大の先制三塁打 貧打引き分けの虎に希望の光
(セ・リーグ、阪神1-1中日=延長十二回、11回戦、阪神6勝3敗2分、25日、甲子園)かすかな光はテル! 阪神は延長十二回の末、1-1で引き分けた。3時間59分の苦闘の中、四回に佐藤輝明内野手(24)が右越えに先制の適時三塁打を放ち、5月11日以来、1カ月半ぶりに打点を挙げた。もう少しでホームランという大きな当たり。もう貧打の試合は見飽きたよ。そろそろ打って~。 何度も虎党の夢を乗せてきた放物線が甲子園に描かれる。文句なしのスタンドインかと思われた打球は、わずかにその手前でフェンスにはねかえった。打球の行方を見守りつつ走った佐藤輝は、三塁で大歓声を浴びても複雑な表情でわずかに唇をかみしめた。久々のタイムリーも、本塁打にもチームの勝利にもあと少し届かず、悔しさをにじませた。 「いやー、もういったと思ったんですけど、風と甲子園にやられましたね」 四回2死から前川が右前打を放って出塁し、迎えたこの日の第2打席。涌井の初球、120キロの変化球を強振した。高々と甲子園の夜空へ舞い上がったボールは、右翼・板山のジャンプを越え、フェンス上部を直撃。ボールがグラウンドへ跳ね返る間に前川が生還し、佐藤輝も三塁を陥れた。 わずかに柵越えを逃したが、5月11日のDeNA戦(横浜)以来、約1カ月半ぶりのタイムリーで、6月7日の1軍再昇格から44打席目でようやくの打点をマーク。チームにも貴重な先制点をもたらしたが…。その後は延長十二回まで戦っても追加点を奪えず、自身の安打もこの1本のみだった。 打撃不振に守備の乱れも重なり、5月15日に2軍降格となって約3週間、鳴尾浜を中心に汗を流した。猛練習の中でも気丈に振る舞い、後輩たちとのコミュニケーションも欠かさない。1年目からチームの中心で活躍を続けた主砲も今年が4年目。憧れの的として助言を求められることも増えた。 「まだ高卒1年目なんやろ? 思い切って、どんどん振っていったほうがいいよ。そうやって覚えていくから」。肩のけがで実戦経験が少なかったD4位・百崎(東海大熊本星翔高)にはこんな言葉を送って励ました。「輝さんはなんでも気さくに話しかけてくれた。練習から勉強になりました」と百崎。今月9日、ウエスタン・リーグでチームの新人では一番乗りのプロ1号を放ち助言に応えた。今度は佐藤輝自身が、力強い打球で、満員の甲子園で力を示してみせた。 連続ノーアーチは105打席に伸びるも、ようやく出た会心の一打。岡田監督は惜しくもスタンドに届かなかった佐藤輝の一打に「そんなん言うてもしゃあない」と言葉少なだった。勝った首位広島とのゲーム差は3・5に。追いかけるためにも、主砲の奮起は欠かせない。打撃の手応えを問われ、佐藤輝は自信を口にした。