部活指導者を“探す人”と“やりたい人”をマッチング!「指導者マップ」のサイトを協会が公開…開設の狙いを聞いた
教員の“働き方改革”もあり、公立中学校の休日の部活動を学校から切り離し、地域に移行する動きが進んでいる。 【画像】全国部活指導者マップのサイト画面を見る こうした中、課題となっているのが指導者の確保だ。この解消を目指し、一般社団法人日本部活指導研究協会では3月11日、「全国部活指導者部マップ」を開設。このサイトは、部活動の指導者を希望する人と指導者を必要とする学校、自治体、部活動の運営を自治体から受託した企業を結ぶマッチングを支援するものだ。 希望する側は、「専門種目」「地域」「対象」「実績」などを記入し登録。なお、日本部活指導研究協会では部活動の位置づけや教育的意義を正しく理解した指導者の普及を目指すために「部活動指導員」の検定試験を設けており、マップではその資格の有無も表示される。 探す側は、「閲覧会員」として登録し、検索システムや地図から、条件に合う地域や指導種目で指導者を検索する。条件に合った指導者にオファーを指定フォームから送り交渉。そして双方で話し合って、結論を決めるという。 部活指導を希望する側の登録は無料。一方、「閲覧会員」は日本部活指導研究協会の賛助会員になり、年会費を払う必要がある。マップには、約700人の指導希望者(3月26日現在)が登録されている。 部活指導を探す人と部活指導を希望する人、双方にとってプラスとなるサイトといえそうだ。では、なぜこのような仕組みを作ったのか? 日本部活指導研究協会の担当者に詳しく話を聞いてみた。
これまでは学校関係者からの口コミ
――「全国部活指導者マップ」を開設した経緯は? 2015年に部活の未来に危機感をじわじわ感じ、クラウドファンディングで協会を設立しました。部活動制度には、様々な問題が内包していることは明らかでした。それに対して、問題提起をするだけでなく、具体的に制度を作る活動をすべきだろうというのが、我々の出した答えでした。 まずは、指導者の質を高めることを目指し、部活動指導者及び関係者を集めて研修会を始めました。しかし、指導者の質を高めるためには、「育成」という局面に加えて、「選抜」の局面も必要ではないかという考えのもと、2020年から検定試験の実施を始めました。受験者は、徐々に増えていたのですが、登録した人材の活用の道筋が見つからず、行政に手紙を出したり、PRをしても反応がなく、極少ない予算のなかで何が出来るのか思案した結果、全国的をカバーする仕様で、利用しやすいシステムを作ってアピールしようと考えに至りました。 ――部活動指導員検定制度を詳しく教えて。 この部活動指導員検定制度の柱は2本です。指導員の能力・知識の審査認定するための「検定試験」と指導員の能力・知識の維持向上のための「更新研修」です。合格者につきましては、資格認定指導員として当協会の名簿に登載をします。学校または地方自治体の問い合わせがあった場合、登載された個人情報が共有されます。この資格制度を支えるために、以下の部活動指導員認定3科目を設定しています。 1)学校一般科目 学校教育の一環としての部活動について、文科省が平成25(2013)年に策定した「運動部活動での指導のガイドライン」の内容について学習し修得する科目。 2)指導分野専門科目 部活動を指導、運営するうえで必要なスポーツ・文化活動の専門的な知識、技能について学習し修得する科目。例えば、スポーツメンタル講座、体幹トレーニング講座、救急救命講座等です。 3)部活動教養科目 部活動研究の専門家の解説により部活動の歴史、現状における問題点、今後の展望等を学習し修得する科目 ――これまで学校側はどのようにして部活指導者を探していた? 一般的に、部活動指導員の登用までの主なルートには次の3つがあげられます。「当該学校関係者から口コミ」「民間団体や各自治体の人材バンク」「自治体による公募」。全体の割合として当該学校関係者から口コミのルートが多いと言えます。 学生任用が半数以上を占めている自治体もありますが、学校教育の一端を担うだけの責任能力を満たされているのか不安視する向きもあります。やはり、問題を起こすのは学生だけではありませんが、例えば保護者対応、個人情報の保護、人権意識、性的嫌がらせ等への認識の持ち方は、一定の継続的な訓練と試験の実施が必要です。そのうえで、大切なことは、部活動指導するうえで、有能な人材を探すルートと有能な人材が応募するルートを全国的な規模で制度設計することと考えます。 ――誰でも指導者として登録できる? 誰でも無料で登録は出来ます。ですが、まずは検定試験を受けて欲しいと思っています。学校における部活動の位置づけや教育的意義を正しく理解した指導者の普及拡大を目指す検索システムなので、無料登録が検定試験を受ける1つのきっかけにして欲しいと思っています。 指導分野の専門的な知識はもちろんのこと、文科省の部活動指導に関するガイドラインについても、検定試験や更新研修会を通じて理解を深めた指導者が、出来るだけ多く学校現場や地域クラブで活躍することを願っています。