ゆったりと優美に舞い 三味線と舞踊成果披露 小京都飯田伝統文化育成会【長野県飯田市】
舞踊や邦楽など飯田の伝統文化の再興を目指し、担い手の育成や伝承に取り組む「小京都飯田伝統文化育成会」(長坂亘治会長)は25日、「三味線舞踊発表会」を長野県飯田市追手町の旧舞鶴で開いた。養成教室に通った計11人が観客の前で稽古の成果を披露した。 料亭や割烹の廃業などで「小京都飯田」として培ってきた歴史ある伝統文化が消えつつある中、若い世代を育成し伝承する場を―と2022年に発足。舞踊と三味線の担い手育成に向け、昨年6月に養成教室を始めた。県の地域発元気づくり支援金を活用した。 1期生となる本年度は舞踊に5人、三味線に7人が参加。古典舞踊育成会「飯田まい珠(たま)」の花柳春輔さんと柘山和代さんが指導にあたり、月3回ほどのペースで稽古に励んできた。 発表会は昨年12月に続いて2回目。生徒たちは設置されたヒノキの舞台に上がり、三味線の5人が「荒城の月」などを演奏した。続いて舞踊の6人が端唄「潮来出島」を舞い、三味線と舞踊で合わせて「さくらさくら」「黒田節」を披露した。緊張した表情を見せながらもゆったりとした優美な踊りを見せ、会場から拍手が送られていた。 舞踊を演じた飯田市上郷の女性は「舞踊を習うのは初めて。緊張してしまい、間やリズムを取るのが難しかった」と振り返り、「扇子など今まで知らなかった所作を学べて楽しい。発表で分かった課題に挑戦したい」と語った。 来年度も育成事業を行い、獅子をどりや子ども獅子をどりの創作にも取り組んでいく。 花柳さんは「短期間で覚えるのは難しいが、よく努力されていた」とたたえ、柘山さんは「今後は飯田に残る長唄や民謡にも挑戦していきたい」と話した。