林 和希、さらなる飛躍を誓った初ワンマンツアーファイナル 「これからも一緒に生きていきましょう」
Aimer「カタオモイ」、中島みゆき「糸」をアコースティックバージョンでカバー
さらに、もう一つの特別なプログラムとして、林がコロナ禍に“歌ってみた動画”を撮影した際に選んだ曲の中から、Aimerの「カタオモイ」、そして中島みゆきの「糸」をアコースティックアレンジバージョンで披露。歌う前に「素敵な名曲を生み出したアーティストの方々へ、リスペクトの気持ちを込めて」と宣言した通り、丁寧に思いを込めて一つひとつのメロディを歌い上げていく。会場の雰囲気はよりリラックスしたものに変わっていった。 ここでNATO a.k.a. Fresh Loc feat. KAZUKI (DOBERMAN INFINITY) & KJIとしてリリースした「HOOD LOVE」を投下。これまでにないハードなパンチラインが織り込まれたこの曲で、ライブの雰囲気をガラリと変える。途中、「この曲は俺一人で終われません。マイクを持ってステージに上がるという俺の夢を叶えてくれた一人でもあるアーティストが地元から駆けつけてくれました」という紹介から、林と同郷のKJIがステージに登場し、倍増したパワーをリリックに込めるよう、息の合ったパフォーマンスを披露。ラストは向かい合ってしっかりと視線を合わせながら2人で全身全霊の歌を届け、感動的な光景を生み出した。 残り僅か数曲というところで、スロウなバラードソング「そうじゃないの」を披露。美しいメロディに女性目線の切ない歌詞を乗せて届ける。そして、林が初めて一曲を通して作詞作曲を手がけたというDOBERMAN INFINITYの「Sorry」を聴かせた後は、1stシングル曲「東京」へ。歌う前に、「生まれ育った岐阜を離れてから14年の月日が流れ、憧れていたはずのこの街の景色も当たり前になって、あんなに自信たっぷりに故郷を飛び出した自分も居なくなってしまいました。時代や環境が変わった今も、一緒に過ごした時間や隣で眺めた景色は胸の奥で輝き続けています。そんな思い出は、この先も僕の背中を押してくれるはずです」と曲に込めた思いを語る。過去や故郷を恋しく思いながらも今の自分を肯定して生きていく、という繊細な感情を切なく歌い上げた。 この日のラストは、アルバムの最後に収録されている「Sea Talk」。イントロの波の音が流れると同時にオレンジの優しい光が会場を照らし出し、夕日の沈む海辺の美しい情景を想起させる。一日の終わりの寂しさを漂わせながらも、優しく繊細な歌声で観客の心をそっと包み込んだ。 「ソロツアー4公演、本当に幸せでした。同じツアーはもう二度とないけど、終わりじゃなくて始まりだと思っています。これから生きていく中でいろいろな壁にぶつかることもあると思うけど、自分はどんなときでも皆さんの心に寄り添えるような音楽を必ず作り続けていきます。4公演じゃ足りない。まだまだ歌いたいし、グループでもソロでももっともっと上を目指したい。必ず武道館に行きたいです。ここで約束します。それまでたくさん音楽作り続けていくので、これからも一緒に生きていきましょう」 全てのセットリストを終え、最後の最後に伝えた林の心からのメッセージと未来に繋がる宣言は、多くの観客の心を動かしたのだろう。盛大な拍手がしばらく鳴りやまなかった。 時間にすれば1時間半とコンパクトながらも、練り上げられた極上の音楽と、エンタテインメント性に富んだプログラムで、濃密かつ満足度の高いライブを届けてくれた、林 和希の初ワンマンツアー。また、ライブでは今年10周年を迎えるDOBERMAN INFINITYが、これまでの名曲を歴史と共にたどるリバイバルライブ『DOBERMAN INFINITY LIVE 2024 ThanX “THE REVIVAL”』の開催もサプライズ発表された。宣言通り、DOBERMAN INFINITY、林 和希のソロ共に、今後さらなる飛躍を遂げることは間違いないだろう。彼らの未来へ大いに期待を寄せたい。
南 明歩