奉納された天井画「虚空奏龍」（東近江市永源寺高野町・永源寺法堂）

　滋賀県東近江市の永源寺に、大津市在住の米国人画家ブライアン・ウイリアムズさん（74）が天井画「虚（こ）空（くう）奏（そう）龍（りゅう）」を奉納した。宇宙の銀河と龍がダイナミックに描かれ、関係者は「永源寺の新たな魅力の一つになる」と期待する。11月1～30日に特別公開される。 　約半世紀前の来日時に京都市に滞在したウイリアムズさんは、臨済宗各宗の禅寺にある「雲龍図」と呼ばれる巨大な龍の絵に感銘を受け、テーマの一つにしてきた。永源寺には紅葉などを描いた自作が方丈（本堂）内に展示されている縁があり、今年の干（え）支（と）の辰（たつ）にちなんで龍の絵の奉納を申し出て、境内にある法（はつ）堂（とう）の天井に飾られることになった。 　虚空奏龍（直径約4・2メートル）は円形で、宇宙と銀河の中に龍が躍動する姿を描く。玉を持つ龍の手を円形から突き抜けさせ、多次元の宇宙が生まれていく意味合いを込め、瞑（めい）想（そう）的な空間を演出する。 　制作費のための賛同金は、全国約270人から約900万円が集まった。同寺で開山忌法要のあった10月1日に天井画の点眼（入魂）法要が営まれ、永源寺派と関係寺院の僧侶や創作支援者ら関係者約90人が出席した。 　ウイリアムズさんは「長年の夢がかない、お寺に感謝している。21世紀にふさわしく物理学の最先端と仏教の教えの融合、虚空（無現に広がる宇宙）で龍と銀河が奏で合う姿を表現した」と話す。永源寺の横山玄秀執事長は「龍の絵の点眼法要が無事に円（えん）成（じょう）しました。ウイリアムズさんをはじめ多くの方々のご協力に感謝します」としている。拝観料が必要。