予備自衛官ってどんな人? 陸自松山駐屯地での訓練ルポ
国の安全が脅かされる有事や災害時に、防衛や救助活動に当たる自衛官。必要最小限の人員で対応している普段に比べ、緊急時にはより多くの人員が必要となるため、普段は民間で別の職業に就いている人を緊急的に招集する「予備自衛官」の制度を設けている。 予備自衛官は招集命令を受けると自衛官となり、第一線部隊が出動した後の駐屯地警備や住民の避難・救助などに当たる。民間人として働きながら、時には国防や災害対応の一翼を担う予備自衛官はどんな思いで出動に備えているのか。松山市南梅本町の陸上自衛隊松山駐屯地で行われた訓練の様子を取材した。(薬師神亮太) 予備自衛官等制度 1954年度に導入され、有事の際に国の防衛力を増強するため、防衛省が元自衛官や自衛隊未経験の民間人を採用する制度。大規模災害時などでも招集され、駐屯地の警備や救助活動に当たる。97年度には退役隊員を中心に採用し、招集時は現役の自衛官と同等の任務に就く「即応予備自衛官」、2001年度には自衛官未経験者でも訓練をこなして採用される「予備自衛官補」が設けられた。 7月17日、松山駐屯地第110教育大隊の隊舎に、予備自衛官の男女13人が県内外から集まっていた。自衛隊愛媛地方協力本部によると、予備自衛官は年5日間の訓練を受ける必要があり、体育や射撃検定を行い、救急法などを学ぶ。取材に訪れたのは訓練4日目で、格闘の基本を学ぶカリキュラムが組まれていた。 指導教官の山中弘貴2曹が「小銃が使えない場合や周りに味方がいて射撃できない場合があり、自衛官には格闘の能力が必要」と訓練の趣旨を説明する。参加者は準備体操を終えると、体の使い方を一つずつ学んでいった。
愛媛新聞社