広陵打線を緩急でほんろう 海星エースは「ぶれない男」 センバツ
◇センバツ高校野球第8日(27日)3回戦 ○広陵(広島)3―2海星(長崎)● 強打の広陵打線にどう立ち向かうか。答えは「ぶれない」ことだった。海星のエース左腕・吉田翔は「打たれることは覚悟して、自分のピッチングを忘れずに」と先発のマウンドに立った。 【息詰まる熱戦…海星vs広陵を写真で】 一回1死二塁で、強打者の3番・真鍋慧(けいた)に対しては「全球、決め球のつもりで投げ込んでいく」とチェンジアップで投ゴロに打ち取った。4番・小林隼翔は内野ゴロに仕留めた。その後もテンポ良く、緩急をつけた投球で広陵打線を打ち取った。 しかし、中盤以降は球威が落ち、球が浮き始めて捉えられた。六回に同点とされ、七回に味方のミスも絡んで3点目を与えて降板した。「自分のせいで、勝てた試合を負けさせてしまった」と悔しさをにじませた。 最速は131キロ。「球速では他の投手にはかなわない」と制球力を磨き、相手打者をどう打ち取るかを考えて取り組んできた。日ごろから物静かだが、加藤慶二監督や仲間は声をそろえて「ぶれない男」と評する。マウンド上でも淡々とした表情で、強力打線にも臆せず自分の投球を貫いた。 昨夏の甲子園は一度は出場登録されたが、PCR検査で新型コロナウイルスの陽性判定を受けて途中離脱を余儀なくされた。エースとして聖地に戻ってくると、初戦は7回1失点で勝利に導いた。 8強にはあと一歩、届かなかったが「緩急は通用することがわかった。あとは夏までに球速を伸ばしていきたい」。ぶれずに投球を磨いていく。【円谷美晶】