膨大な電力消費するAI、新たな半導体ソリューション目指し競争激化
対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」を手がける米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)のような個人、オープンAIに出資している米マイクロソフトのような企業、中国やサウジアラビアなどの政府系事業体は、いずれもこの技術に取り組む新興企業に投資している。
米国の対米外国投資委員会(CFIUS)は昨年11月、サウジの国営石油会社サウジアラムコのベンチャーキャピタル(VC)ファンドに対し、インメモリーコンピューティングに特化したサンフランシスコのスタートアップ、レインAIの持ち分売却を迫った。
非公開情報だとして匿名を条件に語った関係者によれば、複数のアラムコVC部門は現在、米国外でインメモリーコンピューティングに取り組んでいる企業を探しており、中国でも積極的に投資先を見つけようとしている。
このテクノロジーに対し、特に強い関心を持っているのが中国だ。投資データを追跡しているピッチブックによると、PIMチップや后摩智能といった一握りの中国スタートアップが著名な投資家から資金を調達している。
インメモリーコンピューティングに取り組む新興企業エンチャージAIの共同創業者ナビーン・ベルマ米プリンストン大学教授は、中国の企業や大学でこのテーマについて講演するよう頻繁に招かれているという。
「彼らはインメモリーコンピューティングのシステムや先進的なシステム全般の構築方法を積極的に理解しようとしている」と同教授は言うものの、ここ数年は中国を訪れておらず、アジアではエンチャージの技術についてではなく、自身の学術的研究についてのみ講演を行っていると語った。
エヌビディア
この半導体テクノロジーが、AIコンピューティングの将来において重要な役割を果たすようになるとはまだ断言できない。
インメモリーコンピューティング半導体は、計算エラーを引き起こしてきた温度変化などの環境要因に敏感だ。スタートアップ各社はこれを改善させようとさまざまなアプローチに取り組んでいるが、この技術はまだ新しい。