「国際卓越大」再申請の柱に…東京科学大が新設、3研究院の中身
東京工業大学と東京医科歯科大学の統合で10月1日に発足する「東京科学大学」は、同日付で三つの研究院を新設する。基礎から応用までの研究力強化と社会還元で核となる「総合研究院」は、特任を含め研究者が約500人、年間予算は100億円超と、小さい大学一つ分の規模だ。新産業創出と未来社会構築の研究院と合わせ、理工学と医歯学の融合で新たな価値を創造する。政府の国際卓越研究大学への再申請では、これらが柱になりそうだ。 30秒で分かる「国際卓越研究大学」 東京科学大の大竹尚登理事長は「(統合する)両大学の共同研究プロジェクトは、2023年に続き24年は30超が動く。その中で3研究院を3本の矢に位置付ける」と語る。 総合研究院の土台は、大竹理事長が率いてきた東工大の科学技術創成研究院だ。これに東京医科歯科大の生体材料工学研究所、難治疾患研究所、M&Dデータ科学センターが加わる。東京科学大の学長予定者である田中雄二郎東京医科歯科大学長は「組織上の統合で、建物などは当面そのままだ。しかし接点が格段に増え、混じり合う仕組みが動き出す」と強調する。 また「新産業創成研究院」では大型の産学連携プロジェクトを手がける。病院の中と隣接地で新たに稼働させる創薬とデバイス開発の医療工学研究所や、口腔(こうくう)科学センターも、同研究院の中に置かれる。 さらに「未来社会創成研究院」では2200年などの未来社会からのバックキャストでビジョンを描く。先が見えない時代に産業界と新大学が対話や議論をし、新たな社会の構想につなげていく。