Apple Vision Proは「感動するけど60点」
米国で先日発売され、やっと編集部に届いたAppleの空間コンピュータ(MRヘッドセット)「Vision Pro」。さっそく仕事(動画編集業務)に使ってみました。 【全画像をみる】Apple Vision Proは「感動するけど60点」 みんなが感動する理由がよくわかった反面、決定的に欠けていると感じた部分も。 それぞれご紹介します。
「もう仕事に使える」に感動
使ってみて感動したのは「現時点でも実際に動画編集機材として使えるレベルである」という点です。サムネイル作成・動画編集・投稿作業、いずれでも便利だと感じました。 広大な空間に「色も綺麗な大画面」を複数置ける。遅延もなし MacBookから出力した画面は1個しか出せませんが、Vision OS上のアプリを複数置くことが可能です。 広大な空間に沢山のアプリウィンドウを置いても、ディスプレイのベゼルやケーブルもないので、なんだか気持ちがいいですよ。 表示が大きいため、画像の切り抜きといった細かい部分まで見る作業もしやすいです。手で操作するという性質上、画面の拡大などもやりやすく、サムネイル作成は捗りました(Mac内のウィンドウのサイズはハンドトラッキングで変えれません)。 Macの画面を表示させるとかなり便利 画像の切り抜きで結構重要な、細かいディティールの修正も… 普段の作業と変わらず、編集できました。 Macと同期できるが、Vision Pro上でマルチディスプレイができないのは残念 ただ写真の通り、ふだん使っているMacBook Proと同じで、外部ディスプレイがないと作業できる画面は基本1つだけです。 Vision Proで空間に、MacBookの作業画面を複数枚増やせたら…と思っていましたが、それはできず。 カバーは一応効く そこで考えてみたのが「Mac上で3つほどアプリを開く」という手。 Vision Proは解像度が4Kとかなり綺麗なので、1つの画面でも、3つほどアプリを開いても楽々作業できます。1つ1つの画面の表示もかなり大きくでき、見づらいなどは一切なし。普段編集では別画面にFinderやブラウザーを開いて、素材を入れながら作業しているので、不便になってしまうのではと思いましたが、問題なく作業できました。 とにかく見やすい 動画にテロップを入れる作業もやりやすいと感じました。色などもいつも見ているMacBook Proの画面と大差なく、いつも通りの感覚で調整できました。 テキストを入力している際もMacBookそのままの画面を見ているのかと思うほどスムーズで、遅延を感じることもありませんでした。テキストも画面をかなり小さいサイズにしても読むことは…できそうです。 音声の遅延もほぼありません(わからないレベル)。動画のカット作業もしてみましたが、違和感はなく、音声の波形も見やすいです。 YouTubeなども起動しておけるので、ちょっとした編集のやり方動画などを確認しながら作業を進める、といったこともやりやすいです。 画面を置く場所は自由自在、自由度はかなり高いです。「自分の向いている位置にディスプレイがきてくれる」ようにもなっていて、これはかなり快適。肩に負担がきやすい動画編集作業ですが、目線の位置に画面があることで姿勢がいつもよりよくなり、肩の疲れも出にくいように感じました。 「作業環境」を切り替えられるのもGood 目の前のリアルな作業スペースがごちゃごちゃしていても、Vision Proを装着しEnvironment(背景)機能を使えば集中できます。 ゴーグルをつけると、同期しているMacの画面はブラックアウト。もし周りに誰かいても、どういう作業をしているのか見えないよう配慮されているのも、地味ながらいいです。 既存のVRゴーグル系の上位互換といっていい理由 Appleって細かなディティールまで丁寧に作り込むのが上手いなと、新しい製品に触れるといつも感じます。 MacBookとMeta Quest 3でimmersedを介して編集作業をすると、音とセリフの遅延が気になります。プロジェクトの重さとPCのスペックによっても挙動は変わりますが、正直僕の環境だと動画編集作業は難しいなと思いました。また、結構目が疲れます。 この2点では明らかにVision Proは上位互換で、音声と映像の遅延も感じないし、長時間見ていても、既存のVRゴーグルの中だと疲れにくい感じがしました(最初の設定で個人の見えやすい色に設定しているのかも…)。 また、ハンドトラッキング、アイトラッキングも、明らかに精度がいいように感じました。