有村智恵が若手からベテランまでJLPGAの注目株を語る 堀琴音のノールックパターはアマチュアこそ取り組む価値あり!
【ノールックスタイルのパッティングで好調の堀琴音。アマチュアも真似できる?】 ーー最近、有村さんとも仲がいい堀琴音選手(28歳/同24位)の活躍が目立ちます。有村さんから見て堀選手はどんなプレーヤーですか? 天才だと思っています。 あの体のポテンシャルであの成績を残せるって結構すごいことなんです。彼女はそんなに身体的なポテンシャルが高くなくて、体幹も強くないし足腰もそんなに強くありません。「この動きやってみて」って言ってもできないことが多かったり(笑)。ですが、私たちの業界でいう"球さばき"というか、手でボールをさばく技術に天才的なものがあって、それが全てをカバーしているんです。 だから彼女はトレーニングを積んで体力がついてきたら、相当すごいことになるとは思います。だけど、私たちがずっと彼女に言っているのは「変なトレーニングをしたらあなたのその手の感覚、ボールをさばくときのいい感覚が失われるから、すごく慎重にやらないとダメだよ」ということです。でも、あのボールさばきのうまさっていうのは、やっぱり真似できないんですよね。 あとは、あの気持ちの強さですね。基本がせっかちで、自分のゴルフに対しての気持ちが強すぎて、周りが見えなくなったりするんです。でも、私もそうなることが多いですし、真っ直ぐになっている選手が好きなので、だから応援したくなる。分かりやすいというか、全部がゴルフのためだから、いろいろ振り切っちゃうのも許せるみたいなところがありますね。 ーー堀琴音選手といえばノールックスタイル(ボールではなくカップを見ながらストロークする)パターも話題になっています。 パターって、体幹や体が動かないように、どっしりしておかないとバランスが崩れるんです。下を向いてボールを見ていると、体って簡単に動くんですけど、ノールックで違うところを見ていると、体があまり動きません。違う場所を見たり、目をつむったりしている方が、体のバランスはズレにくいんですよね。あのスタイルの利点は体が動かないことと、あとはフィーリングが出しやすいところです。 フィーリングを出すっていう意味では、特にこっちゃん(堀選手)が今使っている長尺パターは、なかなかフィーリングを出しにくいんですよ。(長尺パターは)右手でボールを押すというより振り子でストロークするだけのイメージなので、構えたらラインのイメージも消えやすい場合があって。だから、ノールックスタイルの2つの利点が、その短所を打ち消しているというか。 こっちゃんは、去年のエリエール(大王製紙エリエールレディスオープン)で、(今年の)シードがかかった最終日の17番ホール、体もストロークの軌道もすごくズレていたんですよね。緊張して余計に手も動かなくなっていたので、そういう時にはノールックスタイルってすごくいいんですよ。 このスタイルの一番の敵は、怖さなんです。ボールを見ないことでの怖さがありますけど、それは練習を積めば解消されます。怖さと、あとは恥ずかしさ(笑)。恥ずかしさって結構あるんですよ。目をつむったりとか、何か違うことをやっているっていうのは、普通に打つのがなんかイヤだって思っているのがバレちゃいますから。でも、そこを乗り越えられるとうまくなれるので、こっちゃんもそのうちまた勝つんじゃないかなと思っています。 ーー利点が多いノールックスタイルは、アマチュアも取り組む価値がありますか? むしろ練習した方がいいと思います。自分の打点がどれだけズレているのかがわかります。ノールックでボールが打てないってことは、アドレスやボールのポジションが悪かったり、体の位置が悪かったりするということなので、アマチュアこそ絶対にそういう練習も取り入れた方がいいと思います。