〝幻の花〟ミチノクヒメユリ、化粧品原料に 産業振興で山形県鮭川村
生産者、高校、メーカーと連携協定
鮭川村で、“幻の花”と言われる村花「ミチノクヒメユリ」を生産・活用する動きが始まった。村と県立新庄神室産業高校(新庄市)、化粧品原料メーカーのテクノーブル(大阪市)、同村の生産者団体「Re:lium MICHINOKU(リリウム ミチノク)」の4者が、連携協定書を締結。培養と栽培の推進、成分研究、商品化などを進め、村の産業振興を目指す。 【画像】 鮭川村の花「ミチノクヒメユリ」 ミチノクヒメユリは1960年代、約50万本を出荷していたが、ウイルスの影響で、栽培農家が減少。矢口誠美さん(83)だけが種の保存のため、栽培を続けていた。 同校は、絶滅しかけているミチノクヒメユリを再興しようと活動。茎頂培養や生産者への球根提供の他、花の素材を生かしたジェルキャンドルやアメリカンフラワーなどを製作している。 原料メーカーのテクノーブルは大手化粧品会社の紹介で、2022年から同校と共同研究を始めた。同社は新芽を使い、肌のバリアー機能に重要なビタミンDを活性化する「ヒメリウム-SP-W」を化粧品原料として開発。花のエキスにはポリフェノールが多く含まれることを突き止め、今後の商品化に道を開いた。 12月上旬の連携協定締結式には、元木洋介村長や齋藤潤弥校長、同社の澤木茂豊社長、生産者団体の熊谷市夫代表ら19人が出席した。元木村長は「村の産業となるよう4者で進めたい」と話し、齋藤校長は「生徒が主体となって取り組んできた。生徒の思いを後押ししたい」と語った。澤木社長は「商品を世に出したい」とし、熊谷代表は「次代につなげたい」と述べた。 同校農産活用科3年の齊藤由翔さん(18)は「茎頂培養は地道で大変だったが、この取り組みを広く知ってほしい」と期待を込める。
日本農業新聞