NewJeansとaespa、いま最も勢いのあるK-POPガールズグループを徹底比較!
‘Supernatural’ vs ‘Hot Mess’
NewJeansの日本デビューシングル「Supernatural」には、NewJeansがいままで追求してきた方向性のすべてが凝縮されている。「Supernatural」はファレル・ウィリアムスが2009年にプロデュースした「Back of My Mind」をサンプリングし、1980~90年代に流行したニュージャックスウィングを取り入れた楽曲で、振付もオールドスクールニュージャックスウィングスタイルで構成されている。それにNewJeans特有のメロウなメロディが加わると、私たちは存在しなかったかもしれない、懐かしいある夜の東京へと導かれる。藤原ヒロシとのコラボもその延長線上にある。まだ彼女たちが生まれてもいなかった1990年代の裏原のストリートファッションを着こなし、それが流行した時代への漠然とした郷愁を呼び起こすのだ。つまり、「Supernatural」はNewJeansが日本に作り出したもうひとつの「レトロトピア」を体現している。 aespaの日本デビューシングル「Hot Mess」は、拡張された「SMCU」の世界観に日本のサブカルチャー要素を組み合わせて完成した作品だ。強烈なシンセサウンドからスタイリッシュなラップまで、独特な音楽性やサイバーパンク的なビジュアルコンセプトは健在だ。興味深いのは、ガンダムを思い起こさせるメカニックピースや、魔法少女の変身シーンなど、日本のアニメや特撮物と関連する要素を多く取り入れていることだ。これを日本現地のオタクを攻略するためだと言う人もいるが、それは非常に一面的な解釈に過ぎない。aespaが最近リリースした1stフルアルバム『Armageddon』で多元宇宙に拡張された「世界観シーズン2」の始まりを告げていることから、このミュージックビデオに登場するのは、多元宇宙に様々な形で存在するaespaたちだと言えるだろう。つまり、aespaは独自の世界観の展開に、現地ファンにもアピールする要素を活用すると言う巧妙な選択をしたのだ。 このように、NewJeansとaespaは全く異なる強みと方向性を持ちながら、韓国を超えて日本、さらに全世界で活躍を広げている。彼女たちの音楽とコンセプトは、単にヒット曲を楽しむ以上に興味深い点が多い。今後の活動にも注目してみるといいだろう。
soulitude
日韓の大衆音楽事情を専門とするライター。日韓の音楽にまつわる記事の執筆やキュレーションなど、コンテンツ制作を行う。2022年から韓国大衆音楽賞とKorean Hiphop Awardsの審査員を務める。
文:soulitude