機器用電線の極東電線、工場増設で能力3割拡充。多芯・太物用設備を導入
機器用電線メーカーの極東電線(本社・埼玉県新座市、社長・宮坂淳氏)は工場を増設する。倉庫建屋を改修して第4工場に充て、多芯電線用の撚り機や太物電線用の編組設備などを導入。高付加価値品を増産して収益力を強化する。2024年に稼働させる計画で、同社の製造能力は約3割増える。宮坂社長は「多芯品の製造を機にこれまで受注できなかった領域を攻め、今後5年間で売り上げ規模を倍増させたい」と話している。投資金額は建屋改修や設備など合わせて数億円の見込み。 撚り機はコアと呼ばれる絶縁銅線を撚り合わせるためもの。これまではコア9芯までの撚り加工が最大だったが、新設備では60芯まで可能となる。これにより、さらに多芯で高付加価値な電線が生産できるようになる。併せて米国のUL規格の取得も目指す。新たに製造する60芯の機器用電線は産業機械向けをはじめ、センサや通信、自動車向けなどの市場での販売を想定。国内生産による納期対応力の高さや為替リスクの低さなどを生かして拡販したい考えだ。宮坂社長は「自社ブランドのシリーズ品として市場に展開したい」と期待する。 編組機は銅線を編み込んで電磁波シールド層を形成するための設備で、導入機は24本の銅線を編み込む太物電線用の仕様。太物電線用は同社として初めての設置となる。同社では付加価値の高い編組付きケーブルの比率拡大を目指している。 極東電線は1936年に創業。資本金は1千万円で従業員数は約30人となっている。