人材確保や企業誘致 インドと経済連携強固に 静岡県、西部グジャラート州と友好協定
静岡県は24日、インド西部・グジャラート州と人材や文化などの交流促進に関する友好協定を締結した。世界最大の人口と高い経済成長率を誇る同国の中でも特に勢いのある同州と連携を強化し、県内経済の活性化につなげる。同州訪問中の鈴木康友知事が同日、ブペンドラ・パテル州首相と協定書を交わした。 静岡県と同州の友好協定は産業経済面の人材交流に加え、観光、教育、文化など幅広い分野の連携促進を盛り込んだ。IT分野など高度人材の獲得促進、有力なスタートアップ(新興企業)の誘致、県内企業の進出のほか、誘致したスタートアップとの協働による社会課題の解決も見据える。 同州は州首相を務めていたモディ首相がインフラ整備や外資誘致を進め、「グジャラートの奇跡」と呼ばれる経済発展を遂げた。国内で最も工業化が進展し、スズキなど県内企業も多く進出。最近は先端産業誘致に注力し、同国初の高速鉄道も建設している。静岡県の国際的包括協定は4都市目。 また、静岡県は同日、創業初期のスタートアップの支援や日本語教育を行っている同州のグジャラート大とも経済産業分野の協力に関する覚書を締結した。 鈴木知事は浜松市に本社を置き、同国でトップシェアを誇るスズキの進出が今回の協定締結の契機になったことに触れて「スズキがつくった歴史の上に新たな歴史をつくる。経済などさまざまな分野で連携し、グジャラート州とともに未来に向けて歩んでいきたい」と期待を寄せた。パテル州首相は「協定の締結はインドの発展に加え、両県・州の協力、相互尊重、友情を支える重要な一歩になる」と歓迎した。 静岡県訪問団は中野祐介浜松市長ら同市関係者を除いて26日に帰国する。 ■浜松市は州最大都市と連携促進へ書簡 浜松市は24日、インド・グジャラート州最大都市のアーメダバード市と幅広い分野で連携促進を図ることを確認した。同州を訪問している中野祐介市長が協力を求める書簡をプラティバベン・ジャイン市長に手渡し、快諾を受けた。両市は来年度の友好協定締結を見据え、来年1月から人材や文化などについて交流を開始する。 浜松市は静岡県と同様に協定締結を目指して直前まで調整を進めたが、同国政府の承認が間に合わなかった。ただ、伝統的な凧(たこ)揚げ文化や主要産業の製造業など共通点が多いため、両市長は協定締結を待たずに人材、文化、スポーツ、教育などの分野で連携を約束。市は来年1月、現地のカイト(凧)フェスティバルに参加して文化交流を図るほか、高度人材の獲得やスタートアップ(新興企業)の誘致、企業間連携などにつなげる。 中野市長は「共通点の多い両市の交流促進によって両市だけでなく、静岡県とグジャラート州、日印両国の持続的な発展にもつながれば」と期待した。 市関係者は25~28日に同国南部のテランガナ州も訪れ、理工系最高峰の大学や起業家を支援するスズキの子会社と人的・経済交流に関する覚書を締結する。
静岡新聞社