揺れる学生ゴルフ(中) 「部活、連盟での活動をちゃんとやりたいので助けてほしい」と学生がJGAに訴え
会長代行を中心とした関東学生ゴルフ連盟(関東学連)の“暫定政権”が続いていく中で、その是正を求める一部の監督やコーチ、学生の声も強くなっていった。同組織は公益法人とは異なる任意団体で、その組織運営は学生が主体となって活動し、そのサポートを会長や理事などの大人が行うのが理想的な形とされている。 関東学連の規約では、会長を決める最高決定機関の総会に出席できるのは(1)加盟校の主将(2)同主務(3)同学生で会長が出席を認めた学生だけと記されている。つまり会長を選出できるのは学生だけだが、社会人の理事が大半を占める理事会が開催を決定しなければ、総会は開けないルールだった。総会の早期開催を希望していた一部の学生や監督、コーチの思いは、なかなか現実のものにはならなかった。 懸案事項は他にもあった。関東学連は会長が副会長を指名し、その副会長と会長が合議した上で理事を指名するルールになっている。ただ、それでは会長の力が強くなりすぎる可能性があるため、変更した方が良いとの意見が加盟校の一部から出ていた。日本学生ゴルフ連盟(日本学連)が9月に出した通達文もその是正を求めるものだった。 事態が動かない状況を憂慮した関係者の訴えは、スポーツ庁や日本ゴルフ協会(JGA)にも届いた。昨年、JGAの山中博史専務執行役が呼びかけ、同庁の担当者、関東学連の幹部と監督、コーチ、学生の代表らが集まって話し合いを行った。 その席で山中氏は「暫定政権が早く正常な形になるようにしてほしい。(関東学連は)任意団体かもしれないが、1人(会長)が理事全員を指名できるというのは、独裁政治になりかねない。そこは民主的にやってほしい」と要望した。 それでも状況は変わらなかった。「相変わらず大人同士、話し合いができないような状態だった」(山中氏)。 そして今夏には、学生理事や委員が山中氏のもとを訪れ再度、サポートを依頼。学生は山中氏に「4年間しかない学校生活で大人のゴタゴタに巻き込まれて、自分たちの部活、学生ゴルフ連盟での活動をちゃんとやりたいので助けてほしい」と訴えたという。 「(関東学連に)連盟の会費を払っているのは学生さん。その学生さんたちが安心して組織運営や競技運営ができるようになってほしい。JGAも日本学生を主催したり日本学生連盟に支援金を払っているので“外部だから黙ってろ”とはならない。やっぱり、学生さんたちのためにもある程度の意見は言わないと」と山中氏は話す。 そんな流れの中で、強硬手段に出たのが日本学連だった。 (「揺れる学生ゴルフ・下」に続く)