米大統領選 米M&Z世代は反トランプ+親パレスチナ 選挙の行方を左右する若者たち
第三の候補に関しては、すでにケネディ元大統領の甥(おい)のロバート・ケネディ・ジュニア氏が、無所属で出馬を表明しており、当選の可能性は低いものの、すでにバイデン氏から相当数の票を奪うとの予測が出ている。トランプ氏の票を奪うとの見方もあり、情勢は複雑になっている。 第三の候補が主要候補の片方を利する現象を防ぐ取り組みとして、「優先順位付け投票(RCV)」という手法を導入しようという動きも出ている(本誌21年10月5日号エコノミストリポート参照)。RCVでは、候補者が過半数を獲得すれば、通常の選挙と同じように当選が決まるが、どの候補者も過半数に達しなかった場合は、候補者の「ランク付け」が適用される。 まず最も得票数の少なかった候補者は除外され、除外された候補者を1位に選んでいた人々の票が、彼らが2位に選んでいた候補者に再分配される。再分配の結果、過半数に達した候補者が当選するという仕組みだ。いわゆる死票を減らし、有権者の意向をより反映させた選挙結果を目指すという試みだ。 RCVは04年11月にサンフランシスコ市の市議会議員選挙で全米で初めて実施され、21年6月にニューヨーク市長選挙の民主党予備選でも採用されている。全米にRCVを導入しようと取り組むNPO(非営利団体)「FairVote」の共同設立者スティーブン・ヒル氏は、筆者とのオンラインインタビューで、「将来は大統領選に採用されることもあり得る」と語る。すでにメーン州とアラスカ州では今年の大統領選挙でRCVを採用する予定としており、こうした選挙方法の変化も、注目だ。 (中村美千代〈なかむら・みちよ〉未来工学研究所特別研究員)