米大統領選 米M&Z世代は反トランプ+親パレスチナ 選挙の行方を左右する若者たち
その例として、22年6月に連邦最高裁判所が女性の人工妊娠中絶の権利を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を破棄し、人工中絶を認めるか否かを各州の権限に委ねたことに、Z世代が反発した動きが挙げられる。最高裁(判事9人)は、妊娠15週以降の中絶を禁止するミシシッピ州法は「ロー対ウェイド判決」などに照らし違憲だとする同州のクリニックの訴えについて、6対3で違憲ではないと判断した。「違憲ではない」と判断した判事6人は保守派で、うち3人はトランプ前大統領の任命で就任した人物だった。 バイデン大統領は、この最高裁判断を「悲劇的な過ち」と批判。女性が中絶する権利を守る連邦法の制定を目指す考えを示し、中間選挙で民主党に投票するよう呼びかけた。6月の最高裁判断により、保守的な州では人工妊娠中絶を禁止する動きが強まり、中絶を希望する女性は中絶を認める州まで移動しなければならない事態となった。 その中で10歳の女子が性的暴行を受けて妊娠したが、住んでいるオハイオ州では中絶できず、隣のインディアナ州に移動して中絶をしたという悲劇も起きている。オハイオ州では最高裁判断を受けて、妊娠6週以降の中絶が原則禁止されていた。 こうした状況にZ世代は一斉に抗議の声を上げ、デモも行われた。そして、中絶の権利を認める民主党の候補者に投票したたため、当初の予測に反して、中間選挙で共和党が苦戦するひとつの背景となった。 では、バイデン大統領がなおもM・Z世代の支持を得られているかというと、今は流動的だ。バイデン氏の高齢がM・Z世代にとって支持のネックになっているが、何より大きいのは、イスラエルのガザ攻撃をバイデン氏が支持していることが、マイナス要因となっている。11月の本選挙でZ世代がどう動くのか。今回の大統領選の大きなポイントと見てよいだろう。 ■ケネディ旋風 ここまでM・Z世代について述べてきたが、ここにきて、世代の動向とは別に、「第三の候補者」の動きが、大統領選にかなり影響を及ぼすのではないかとの見方が出始めている。最後に、この話にも少し触れておきたい。