「だれか to なかい」に大抜擢にも納得…ムロツヨシがどんどん出世していくワケ
『踊る大捜査線』のちょい役だった
あの『踊る大捜査線』シリーズ(フジテレビ系)のちょい役の男が、あの『勇者ヨシヒコ』シリーズ(テレビ東京系)のヘタレな魔法使いが、こんな大出世するとは――。 【写真】嵐は「ニノ以外」かなり不調な状況にあった…「嵐“再始動”」は可能性あり? まさか『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)で戸田恵梨香さんの恋人役を演じるとは、まさか『親バカ青春白書』(日本テレビ系)で永野芽郁さんの父親役で主演するとは――。 まさかトーク番組『だれかtoなかい』(フジテレビ系)で、数々の人気番組の名MCとして活躍する中居正広さんとタッグを組むことになるとは――。 ムロツヨシの躍進が止まりません。 『踊る大捜査線』や『勇者ヨシヒコ』初期の頃の彼を見て、現在の姿を予想できていた人はどれほどいたでしょうか? 役者としての彼の魅力は、ずば抜けて高いコメディセンスから繰り出されるコミカル演技と、またその先行したイメージのカウンターとして放たれるシリアス演技、この二つのバランス感覚にあるように思います。 一方、売れっ子だろうがそうじゃなかろうが分け隔てなくフランクに接していける“人たらし”の才能で、芸能界屈指の交友関係の広さを誇ることも、彼の魅力の表れでしょう。 今回は、年間100本寄稿するドラマ批評コラム連載を持つ筆者が、ムロツヨシさんのキャリアや交遊録を振り返っていきます。
盟友・福田雄一と出会いでブレイク
1976年1月23日生まれのムロツヨシさんは、大学在学中から役者や演出などの活動をはじめ、2005年公開の映画『サマータイムマシン・ブルース』で映像作品に進出。 公開日は前後しますが、同じく2005年に公開した『踊る大捜査線』のスピンオフ映画『交渉人 真下正義』にもバイプレイヤーとして出演。その後も2010年公開の映画『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ! 』、2012年公開の映画『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』にも出演していました。 とはいえ、この『踊る』シリーズでは刑事部交渉課所属で真下正義(ユースケ・サンタマリアさん)の部下といったポジションの役だったものの、役者・ムロツヨシの魅力を観客に存分に伝えきれるほどのセリフやシーンはそこまでなかった印象。 彼が世間に認知されていくのはもう少し先になります。 ムロさんのブレイクのきっかけと言われているのが映画監督、脚本家、劇作家、放送作家、演出家といった肩書を持つ福田雄一さんとの出会い。 福田さんの初監督作品である映画『大洗にも星はふるなり』(2009年)にて、本格的に初めて仕事をともにし、その後も数々の作品に起用されていき、ムロさんは佐藤二朗さんとともに「福田組」の筆頭に挙げられる役者となっていきます。 福田作品は、映画では『銀魂』シリーズ(2017年、2018年)、『50回目のファーストキス』(2018年)、『新解釈・三國志』(2020年)などに出演。ドラマでは『今日から俺は!! 』(2018年/日本テレビ系)、『親バカ青春白書』(2020年/日本テレビ系)などに出演し、お茶の間の知名度を上げていきました。 なかでも、福田さんが監督・脚本を務め、山田孝之さんが主人公の勇者役を演じた『勇者ヨシヒコ』シリーズ(2011年、2012年、2016年/テレビ東京系)では、主要キャストとして勇者パーティーのヘタレ魔法使い役を好演。 同作はシリーズを重ねるごとにコアなファンを増やしていったのですが、福田さんの生み出すシュールでユルい世界観に、ムロさんの独特なトーンのセリフやアドリブ演技が絶妙にハマり、ヒットに大きく貢献したのでした。 彼はコメディセンスをとことん発揮して『勇者ヨシヒコ』のヒットに一役買い、逆に『勇者ヨシヒコ』がヒットしたことで役者・ムロツヨシという存在が周知されていくという、シナジーが起こっていたのです。 それ以降、主役、準主役に抜擢されることになるムロツヨシさん。 後編記事『今後ムロツヨシがドラマ・バラエティの引っ張りだこになる…圧倒的なコミュ力に驚愕するワケ』では、売れっ子俳優になっていく経緯を解説します。
堺屋 大地(恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー)