“北陸新幹線”延伸で話題の「敦賀駅」に不満が殺到…「中京・関西住民はかえって不便に」、「乗り換え“わずか8分”問題」も
GW、混雑なく乗り換えができるか
合間に駅弁を買う時間があったり、途中下車をしたりする余裕がある旅であれば、乗り換えはそれほど苦痛ではない。しかし、一刻も早く目的地に向かいたい場合は本当に面倒であり、心理的な負担は大きい。それでも、特急から北陸新幹線に乗り継ぐ際は、ひたすら新幹線乗り場を目指せばいいので、まだ負担は少ないかもしれない。問題は、北陸新幹線から特急に乗り継ぐ場合である。 関西に向かう「サンダーバード」と中京に向かう「しらさぎ」は33番・34番乗り場から発着するが、ホームを挟んで向かい合わせに並んでいることがあるのだ。これはいただけない。目的地と別方向に行く列車に乗ってしまう可能性があるし、しかも列車のデザインがかなり似ているのだ。鉄道ファンなら見分けがつくかもしれないが、一般人は違いがわかりにくい。せめて、車両のカラーを赤と青くらい明確に塗り分けるなど、対策が必要だったのではないか。 また、乗り換えの便を図るため、敦賀駅の床には色分けして、特急「サンダーバード」と特急「しらさぎ」の乗り場が案内されている。はっきり言って、「京都・大阪方面」と「岐阜・名古屋方面」と併記した方が良かった気がするのだが、いかがだろう。鉄道ファンでもない一般人は、列車の愛称などどうでもいいし、頭に入っていないのだ。
敦賀駅の構造そのものが良くない
敦賀駅の問題点は他にもある。まず、これほど多くの人が利用する駅なのに、改札外に“みどりの窓口”が1ヶ所しかないことだ。改札内には2ヶ所(台)あるが、当日分の発売しかしておらず、事前に買っていた切符を変更したい場合は改札外に出なければならないのだ。 しかも、その窓口が東口(やまなみ口)にある。氣比神宮や敦賀港などの観光地に向かう玄関口で、ビジネスホテルが多く建つ西口(まちなみ口)には、評判がよくない“話せる指定席券売機”が1台あるのみである。 この券売機は、自分で操作もできるが、オペレーターに繋いで切符を発券して貰えるシステムが搭載されている。しかし、繋がるまで時間がかかるため、ギリギリに駅に着くと切符が買えず、乗り遅れる可能性がある。何より、高齢者は使いにくい。そして、西口から新幹線乗り場までが遠かった。跨線橋で線路を跨がなければならず、動く歩道やエスカレーターを利用しても、3~5分はかかる。 JR各社はインバウンドの受け入れに熱心であるし、若者よりもシニア向けの旅行商品を積極的に発売している。その一方で、JR東日本はみどりの窓口を積極的に削減している。これはあまりに不親切であろう。高齢者が駅員に怒鳴り散らす光景は、出張で駅を利用していると頻繁に目にする。インバウンドや高齢者を重視しているのに、彼らの利便性を損ねるコストカットばかりしているのだから、極めてちぐはぐな経営である。 敦賀駅は、昨今のJR各社を取り巻く問題が凝縮したような駅、と言わざるを得ない。折しも、もうすぐゴールデンウイークが到来する。帰省客と観光客がドッと北陸に押し寄せるであろう。スムーズにトラブルなく、遅れなく列車を発着させることができるのだろうか。JR西日本の手腕が試されていると言っていいだろう。
ライター・宮原多可志 デイリー新潮編集部
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