「本物の日本は田舎にある」ゲストハウスが相次ぎ開業
北陸新幹線の金沢延伸が実現した長野市の周辺で、安く素泊まりできる「ゲストハウス」の開業が静かな広がりを見せています。バックパッカーから中高年夫婦のゆったり旅まで受け入れる肩の張らない宿。旅を自由にデザインでき、情報交換や旅行者同士の交流のチャンスもある自由度が好まれています。さらにインバウンド(海外からの誘客)促進の動きも加わって外国人利用者も急増中です。 <北陸新幹線>老舗長野の“小さな開国” 強敵は金沢?
素泊まり3000円前後の低価格
ゲストハウスは素泊まり、ドミトリー(相部屋)が基本で1泊3000円前後。海外ではバックパッカーの宿として知られています。希望により別料金で食事を出したり、個室を用意する場合もあります。 5月31日までの御開帳でにぎわう善光寺(長野市)の東北部に位置する中野市(人口4万4000人)にも、4月21日に「ゲストハウスかのか」がオープンしたばかり。高橋秀一さん(45)、庸子さん(53)夫妻が3年前に仙台から移り住み、準備してきました。木造2階建て、客室5室で最大14人宿泊でき、全室冷暖房完備。相部屋は1泊3500円で、カップルや中年夫婦も利用しやすいようツインや和室も用意し、利用人数により4000円台で泊まれます。和室に4人の場合は1人3500円です。
「かのか」は上信越道信州中野インターから11分。旅行会社に勤めていたこともある秀一さんが、旅のプロの目で「北信州の入り口の中野市は人の流れがあり期待できる」と見て、果樹園に囲まれた好環境の現在地を選びました。この連休の予約は好調です。 このほど開いた内覧会には近所の農家の人など多数が訪れました。ブドウ、モモ、リンゴなどの農家の主婦(60)は家族とともに見学し、「農業だけの生活ではなく、将来は仲間と集まれるような場所をつくりたいなと考えています。営業施設にするかどうかまだ未定ですが、こうした試みはとても興味深い」と熱心に話していました。
古い日本家屋の良さ伝える
4月4日に長野市松代町に開業したのは「松代ゲストハウス布袋屋(ほていや)」。ホームページの「ゲストハウス」の部分は「木賃宿」としてあります。建築関係の仕事をしていた山本薫さんが松代町の町並みづくりのプロジェクトに関係した際、江戸時代から続く古い建物が残されていることに驚き、「まちづくりにもつながれば」と歴史を伝える環境を生かしたゲストハウスづくりを決断しました。