映画『高校教師』で主演…遠山景織子さん(49歳)が「他の女優さんを羨ましく思った時期」とは|美ST
演じる楽しさの目覚め、そして高校中退してまで女優を極める覚悟を
事務所に所属してからはしばらくモデル活動が中心でした。雑誌に出たりしながら、たくさんのオーディションを受ける中で出演が決まったのが「南アルプスの天然水」のCM。思えばこのCMが「モデルじゃなくて女優になりたい」と思うきっかけでした。15秒、30秒の演技なんですが、テイクを重ねるたびに楽しくて、演出家さんの意図に応えるのに夢中でしたね。だから気持ちがドラマや映画に向いていったのはごく自然なことだったんです。もっと長くお芝居で表現がしたい、と。 それからほどなくして映画『高校教師』のオーディションに受かって、撮影漬けの日々に。あまりに忙しくなってしまったので、実生活での高校の授業日数が足りなくなり、進級できなくなってしまったんです。1年留年して高校を続ける選択もありましたが、私自身は、これからもっと演技の仕事をしていく心づもりでしたから。高校は中退を選んだんです。 あんなに厳しかった父は賛成してくれましたが、母からは最期まで反対されましたね。母は看護師をしていて、手に職をつけることには賛成でしたけど、何せ芸能界は不安定ですから…。今でこそ当時の両親の気持ちは痛いほどわかりますが、私も頑固だったので(笑)。「私は決めたから!」と啖呵を切ったんです。とはいえ、両親は私が本気でたくさんのオーディションに受け続けている姿を見てきていたし、最終的には認めてくれました。
“普通の生活”の繰り返しに焦っても、自分がどうありたいかはブレませんでした
今振り返ってみると、女優デビューし高校を中退してから、20代前半にかけて、年間でずっとドラマや映画に出演させていただいていましたね。でも、芸能の仕事は水ものというか、浮き沈みは誰しもにあって、仕事が減って辞めていってしまう人達がとても多いんです。私も実際にそういう時期を経験しました。 26歳で出産し、休んで復帰してからの数年後、35歳くらいの時は役の転換期もあり、中々役にハマれない時期がありました。2、3年くらいは続いたかな。自分がいかにチャンスやタイミングに恵まれていたか、あの頃ほど痛感したことはないですね。 まだまだ階段を上がれていない思いに焦ったり、子育てをしながら普通にごはんを食べて寝ての繰り返しがすごく嫌で、他に活躍する女優さんを羨ましく思ったり、葛藤していたことも。 でも、その先どうなるかはわからなくても、どうありたいかは明確でした。それは、出会ったことがないステージや、見たことのない世界を経験して、上に上に登っていける自分。思い返せばそうした気持ちは女優を始めたときから自分の中に芽生えていて。だから、周りの人に「今はしょうがないよね」と励まされながらも、毎年芸能の神様を拝みに行ったり、映画やドラマを観てインプットしていつ声をかけていただいても良いような準備をしたり、自分にできることを着実にできていたのだと思います。