京都で「特定外来生物」アライグマの捕獲数が急増 かつてペットで大量輸入、成獣になると凶暴に
京都府長岡京市でアライグマの捕獲数が増えている。近年は年間5匹以下で推移してきたが、昨年度に10匹に増加、本年度は9月末時点で17匹に上った。出没範囲が広く、野菜などを食い荒らされる被害が出ており、市は捕獲用のおりを新たに購入するなど対策を強める。 【写真】アライグマ被害は文化財にも アライグマは主に北米原産で、1970年代にペットとして大量輸入され、捨てられたり逃亡したりして野生化した。夜行性、雑食で、成獣になると凶暴という。輸入や飼育が規制される特定外来生物に指定されている。 同市では2005年にアライグマが初めて捕獲され、防除実施計画に基づいて駆除にあたっている。農家ら市民には捕獲に必要なかごを無料で貸し出しており、捕まった場合は処分している。 17年度に捕獲数は17匹に上ったが、18~22年度は年間2~5匹で推移していた。一方、昨年度から急増しており、出没エリアも西山近くだけでなく、市街地でも目撃情報が寄せられている。農作物への被害のほか家屋に侵入するケースもあり、捕獲用おりの貸し出し申請は、本年4~8月で前年同期比20件増の27件となった。環境政策室は「同時期に貸し出し希望者が重なってすぐ対応できないケースもあった」という。 9月の市議会定例会でも議論となり、市側は「鳥獣被害は農業者の営農意欲を低下させる一因にもなる」として、捕獲体制の整備などを強調した。市民に対しては「けがをする恐れがあるので、アライグマを見かけた場合は触らず、まずは市に連絡してほしい」(同室)と呼びかけている。