Z世代はクルマも恋愛も環境にも興味なし!? ──教えて、博報堂生活総研さん! 若者のクルマと恋愛事情。<後編>
この30年間で若者たちの暮らしや価値観はどう変化したのか? 博報堂生活総合研究所による観測データ「生活定点」を元に、モータージャーナリストの渡辺敏史が若者のクルマと恋愛事情について探る。今回はその後編をお届けしよう。 【グラフ】衝撃! いくつになっても恋愛していたいのは20代よりむしろ……!?
恋愛したいアラフィフと恋愛したくないZ世代
──衝撃……ですか? 近藤 「いくつになっても恋愛したいですか」という質問項目がありまして、1998年くらいまではそうありたいという人の数が、年代別でみたとき20代が最も多かったんです。それが2022年のデータになると、20代は最下位。どの年代よりも低いんです。50代も年々、低下しているものの、10%程度の変化で、20代に比べるとかなり緩やかです。 ──私も50代ですが、諦めが悪いということですかね。思い当たるオッさんは周囲に何名かいますが。 近藤 いやぁ、やっぱり20代だった時の社会環境とか、そこでの経験の違いが大きいのではないかなと。今の50代って、恋愛に対しても社交に対しても積極的ですし、新しい情報の収集についても意欲的ですよね。 ──逆に現代の20代が恋愛に意欲的ではないというのは、社会的にも憂慮すべき話だと、個人的には思うところです。 近藤 他にも、「友人は多ければ多いほどよいと思う」という項目も大幅に減少していて、無駄な付き合いは極力減らしていきたいという意識を、調査の結果から読み取れます。現在50代の方が20代だった頃、友達が何人いるかがステータスの一部みたいなところがあったと思うんですが。 ──ありましたよね。パーティやイベントでどれだけ人を集められるかみたいな。数量勝負的なマインドですよね。 近藤 そういう意識は現代の20代では薄いですね。これもまたコロナ禍がひとつの契機なのかもしれませんが、本当に仲の良い友人を大切にしたい。そうでない人間関係は断捨離したいと。SNS疲れというのも背景にはあるのではないかと思うんですが。 ──なるほど。ちなみに現代の20代がクルマに対する熱量が低いという理由のひとつとして、環境意識の高さは考えられませんかね? クルマはCO2だエミッションだで昔から何かとやり玉にあげられますし。 近藤 それがですね。我々の調査だと、現代の20代ってそれほど環境意識が際立っているわけではないんです。「環境を考えた生活をすることは自分にとって面倒だと思う」という項目をみると、年代別では20代が一番高くて6割近く、1992年比では約10ポイント増えているという結果が出ています。もちろん熱心に環境負荷低減を意識する20代が増えていることも承知しているのですが、総合的にみると、ゴミの分別とかレジ袋の有料化とか、コストや手間が自分の日常にも影響していることに対しての疲れが現れているのではないでしょうか。 ──そうなんですね……。うーん、コミュニティが小さい上にインドア派で動画視聴が趣味なんて話が積み上がってくると、いよいよクルマを持つなんて選択ははるか遠いものになってきますよね。