ゼレンスキー氏独占インタビュー:同盟国の支援加速・直接関与を
ウクライナのゼレンスキー大統領は5月20日、首都キーウ(キエフ)でロイターの独占インタビューに応じた。西側同盟国は同国への軍事支援に関する決定に時間をかけすぎていると指摘し、ロシア軍のミサイル迎撃を支援するなどより直接的に戦争に関与するよう同盟国に働きかけていると語った。 「同盟国には非常に感謝しているが、支援のスピードが非常に遅い」 ウクライナのゼレンスキー大統領は5月20日、首都キーウでロイターの独占インタビューに応じ、西側同盟国による軍事支援について決定に時間をかけすぎていると指摘した。 「どの決定にも長期間かかっている。 1年くらい遅すぎる」 ゼレンスキー氏は、西側同盟国に対しロシアのミサイル迎撃支援や、国境やロシア領内の軍事設備に対しウクライナが西側の武器を使用できるようにするなど、より直接的な関与を働きかけていると述べた。 「我々は適切な対話を行い、国境沿いにあるロシア軍の兵器に対し攻撃が可能な長距離ミサイルについて、合意できると確信している。 なぜなら、戦車や装甲車、地対空ミサイル『パトリオット』を供与された時にも、同じことがあったからだ」 ロシアの、「国際的に承認された」領土に対してミサイルを使用するというウクライナの要請に、米国は反対。紛争拡大の危険性に対する西側の懸念が背景にある。 「誰もが紛争拡大を恐れている。 だから、ウクライナ人が死んでいる。 皆それに慣れてしまった。それは紛争拡大ではないと」 ウクライナ軍は危険な状態だ。ロシア軍は最近、国境を越えハリコフ市に侵攻。ウクライナ軍は劣勢にある。 ゼレンスキー氏は、北東部で領土を失っていることは認めたが、戦況は改善していると述べた。 「いま、状況は制御できている。1週間前はもっと困難だった」 米国議会ではウクライナへの軍事支援法案が一部共和党議員の反対にあい、4月下旬にようやく可決。 支援に懐疑的なトランプ氏が11月の大統領選で勝利した場合も、今後の支援に大きなリスクはないが、懸念もある、とゼレンスキー氏はみる。 「民主、共和両党とも支援法案を支持した。 ただ、現時点で大きなリスクがないとは言えない。 共和党議員がウクライナ支援に反対だとは思わないが、聞こえてくる彼らの発言の一部からは懸念も起きている」