「NGなし」宣言の元テレ東・松丸友紀アナ「お笑いメインの事務所」入りで目標とするあのコント師
「名だたるアナウンサーの方々は、フリーになってもすぐにレギュラー番組で活躍されています。きっと私も! なんて淡い期待を抱いていましたが、思っていたほどお仕事の話が来なくて……(苦笑)。でも実際にいただいたお仕事をこなしていくと、テレビ局時代とはけっこう勝手が違っていて悪戦苦闘しています。今の私にとってはちょうど良い仕事量なのかなって感じています」 【画像あり】すごい…! 颯爽と日本橋を歩く大江麻里子アナ そう語るのは6月末にテレビ東京を退社し、7月から『プロダクション人力舎』所属となったフリーアナウンサーの松丸友紀(敬称略・43)。 松丸といえば、テレ東の人気深夜バラエティ『ゴッドタン』の名アシスタントとして知られる同局の看板アナだった。そんな彼女がなぜ今フリーに転身したのか。人力舎を選んだ理由や今後の活動について語った──。 ◆先輩アナからの一言でフリー転身を決断 8月の猛暑日。インタビュー取材のために仕事の現場から慌ただしく帰社したという彼女はうっすらと汗ばんでいた。忙しくも充実した日々を送っているようだ。局アナ時代との仕事の違いを楽しそうに語る。 「局アナ時代は番組を進行する、いわばホスト側としてお仕事に臨んでいました。ところがフリーになってからはゲストとして呼ばれることが増えたんです。ゲストとして番組に向き合う経験は初めてなので、『どこまで前に出ていいのかな』『全体を盛り上げないといけないのかな』といった考えが頭の中でぐるぐる回っています。 テレ東の教えに『アナウンサーは番組の作り手の一人として黒子に徹しろ』というのがあるのですが、フリーになったからには番組に臨むスタンスを変える必要もあると感じています」 フリーになった理由を尋ねると、実はその決断に至るまでかなりの時間を要したと松丸は明かす。 「’17年に子供が生まれて’18年に育休から復帰しましたが、自分が思い描く育児と仕事の両立ができなくて悩んでいました。育児も仕事も100%全力でやりたいという気持ちがあったんですが、競輪選手の夫(新田康仁・50)は仕事柄、家にいない日も多く、ワンオペ育児になった日はどうしても仕事に全力を注げません。 働き方や、働く場所を変えたらこの悩みが解消されるのかなと思い、フリーになった先輩アナウンサーをはじめ多くの方々に相談し、悩みに悩んだ末の決断でした」 その”決断”の決め手となったのが、先輩アナからのひと言だったという。 「子供が今年度、小学校に入学したのですが、私は『小学校に上がったら手も離れるのかな』と思っていたんですね。ところが、テレ東の2年先輩で、3児の母でもある倉野麻里アナ(44)からは『子供が小学校に入ったからって手が離れるわけじゃないよ』って。自分の認識の甘さを痛感しました。結局、楽になることはないんだなって……。でも、その一言で覚悟ができたというか、子供が小学校に入学するタイミングということでフリー転身を決めました」 育児も仕事も全力で取り組むため、新たな一歩を踏み出した松丸だが、今後はどのようなジャンルをメインに芸能活動を続けるのだろう。視聴者が一番にイメージするのは、彼女とは切っても切れない番組で、’05年にレギュラー放送を開始した『ゴッドタン』(テレビ東京系)だが……。 ◆『ゴッドタン』で”悪ふざけ”に乗ることを覚えた 「私がアナウンサーを目指したきっかけは、中学生のときに観た映画『アンカーウーマン』でした。一人の女性がニュースキャスターを目指す内容で、私も報道の道に進みたいと思いテレビ局の門を叩きました。テレ東に入社した当初も上司からは『報道で頑張ってほしい』と言われていて私もその気持ちでいました。それが入社2年目に 『ゴッドタンっていう深夜のお笑い番組なんだけど』 と声をかけていただいたんです」 「マジ歌選手権」や「キス我慢選手権」など数々の神企画を生み、『EXIT』(りんたろー。、兼近大樹)や『三四郎』(小宮浩信、相田周二)など、『ゴッドタン』をきっかけにブレイクしたお笑い芸人は少なくない。松丸はこのお笑いを煮詰めに煮詰めたような番組で、『おぎやはぎ』(小木博明、矢作兼)、劇団ひとりという濃ゆ~いレギュラーメンバーと19年も共にしている。時には”変なおじさん”に扮して爆笑をさらうなど、アシスタントながら番組に欠かせない出演者として視聴者を楽しませてきた。 「報道とは真反対の”ド”がつく直球のバラエティ番組なので正直戸惑いはありました。ただ、当時のテレ東は大江麻理子さん(45)、大橋未歩さん(46)という大看板がいて、バラエティはほぼお二人に集中していたんです。そうした中で回ってきたバラエティ番組のアシスタントだったので、貴重なチャンスだと思ってお受けしました。放送開始当初は独特の空気に苦戦しましたが、他局のバラエティ番組を研究するなどして試行錯誤し、少しだけ”悪ふざけ”に乗ることを覚えてからは、自分でも軌道に乗ったなと感じます」 そんな松丸がテレ東退社後の所属先として選んだのは、おぎやはぎも所属する『人力舎』。根っこは報道志望であるはずの彼女が、お笑い芸人を多く抱える芸能事務所を選択した理由は何なのだろう。 ◆アナウンサーがいない事務所を選択 「大きかったのは矢作さんの言葉ですね。私が働き方で悩んでいた時期に相談したことがありまして、そのときに 『この先もしフリーアナになるんだったら人力舎に来なよ』 と言ってくださいました。また、(大橋)未歩さんから 『もしフリーになるならアナウンサーがいない事務所のほうが活躍しやすいかも』 とアドバイスをいただいたこともありまして、人力舎にはアナウンサーがいないという点も決め手の一つになりました」 “人力舎の松丸友紀”として今後やってみたいことを尋ねると、「まだ報道キャスターの夢は諦めていません」としつつも、口をついて出るのはやはり”お笑い”だった。 「願わくば、『東京03』(飯塚悟志、角田晃広、豊本明長)さんのコントに出てみたい……です(照れ笑い)。彼らのコントが大好きでライブも何度か観させていただいているんですけど、ちょい役で構わないので、あの舞台に立ってみたい。『東京03』さんは人力舎の先輩になりますがフリーになってからまだお会いしていません。次にお会いするときは、ご挨拶とともにコント出演の希望を伝えたいと思っています。 報道キャスターやナレーターなど、やりたいことはたくさんありますが、フリーになったからには”NGなし”で何でもやっていきたいと思っています。時には変なことをするかもしれませんが、温かく見守っていただけたら嬉しいです」 まるで”前フリ”のような意気込みを語った松丸。『ゴッドタン』でコアなお笑いに揉まれ続けた“お笑い系アナウンサー”が本領を発揮するのは、これからかもしれない──。 インタビュー・文:芳賀慧太郎
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