タレント本コレクター・吉田豪「ボクにとって価値の高い本」何でもあり!美輪明宏が「丸山明宏」だった時代の伝説の本…小林亜星のデビュー作がヤバすぎた
東西を問わず、古書の売買は昔からひんぱんに行われ、絵画同様の投資対象になっている。だが、いくら値段が跳ね上がろうとも、「自慢のコレクション」として、売らずに、捨てずに保管し続ける者もいる。プロインタビュアーの吉田豪氏はまさにそれで、部屋を埋め尽くすタレント本の数々は圧巻。氏に、これまで集めてきた膨大な本の中から「自身にとって価値ある本」を、前編、後編と分けてピックアップしてもらった。みんかぶプレミアム特集「至上のアート」第5回。
購入したマンションも本棚で埋まる「もはや足の踏み場がない」
これまで集めてきた本は、もう把握しきれていません。今住んでいる部屋を借りたときは、壁一面をタレント本だけの部屋にするとは決めていて、その段階で大体3000冊ぐらいはあったんですよね。でも、五十音順に並べて作っていったら、入らなくなって、生活スペースにする予定だった部屋の中にも本棚を置くようになり、もうどうしようもない状態になりました。 そこで、この家の近くに、マンションを買ったんです。最初は同じマンションにもう一部屋借りようと思ったんですけど、入居審査が通らず泣く泣く。結構そっちは広くて70平米くらいあるんですけど、結局実家から送られてきた本とかで足の踏み場がないぐらい埋まって、結局生活もできず(笑)。とりあえず、数万単位であることは確かですね。
実はアナーキーだったタレントたち
僕が影響を受けた本としてよく言ってるのが、美輪明宏さんの『紫の履歴書』なんですが、面白い以上、文庫版じゃなく、ちゃんとしたのも買いたいと思って入手したのが「丸山明宏」バージョンの『紫の履歴書』(1968年刊)です。これ、何がいいかっていうと、本人が写った“しおり”つきなんですよね。最高ですよ。 美輪さんもアナーキー側の人で、この本も内容的には戦争の時代に、こういうようなスタイルで、どういう迫害をされながら、権力と戦ってきたか、権力は糞食らえだとかなんとかしか書いてない本。 やっぱり僕は根がパンクなので、パンク的なものや人に惹かれるんですが、青島さん、美輪さん、あとは小林亜星さんなど、それまで正直舐めていた……久田将義さんの言葉を借りると「偉そうなやつみんな嫌い」だったタレントたちが、本を読むとものすごい反体制ということがわかり、どんどん好きになっていくという。 小林亜星さんのデビュー作(『小林亜星のああせいこうせい』1976年刊)はすごくて、読んだら、普通に天皇制批判とかしていて、「すごい!昔のタレント本ってこの辺までありなんだ」と思いましたよ。そもそも編集者がなんで削らないんだと(笑)。後に亜星さんはインタビューを行って、音楽の事務所だからミュージシャンのポストカードとかが壁に貼ってあるんですけど、途中にシド・ヴィシャスがあって。「この年齢でシド・ヴィシャスは貼らないですよ!」と話しました。
吉田豪
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